2010 Fiscal Year Annual Research Report
空間における形の認知を介した「主体」の存立の基底に見る感覚の根源性についての研究
Project/Area Number |
20320003
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
栗原 隆 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30170088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尚武 鳥取環境大学, 大学院・環境情報学研究科, 教授 (10011305)
座小田 豊 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20125579)
尾崎 彰宏 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80160844)
山内 志朗 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30210321)
城戸 淳 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90323948)
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Keywords | 主体 / 共通感覚 / 感覚 / 表象 / 観念 / 知の成立 / 懐疑 / 自己認識 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、4月に東北大学出版会から刊行される『共感と感応--人間学の新たな地平』に集約された。佐藤透は「共感のクオリア」を執筆、共感の形而上学が成り立つとしたらその存立機制を明らかにしようとした。鈴木光太郎は「共感の進化」を執筆、動物行動学から解き明かされた「心の理論」を、ヒトへの応用可能性を追究した。城戸淳は「想像力と共通感覚」を執筆、カント哲学へ、どのような思想史的脈絡を通じて「想像力」と「共通感覚」の概念が流れ込んだかを明らかにした。座小田豊は「共有知としての『良心』についての一考察」を執筆、良心(Gewissen:集合知)の成り立ちと変容を、カント、フィヒテ、ヘーゲルに探った。栗原隆は、「微笑と感応」を執筆、ルネサンス期絵画におけるマドンナに初めて微笑が顕われたことから、主観性と感情の発露が解禁されたことを、カント、ヘーゲルに即して明らかにした。尾崎彰宏は「静物画としての自画像、あるいは自画像としての静物画」を執筆、自画像の出現が自己認識の成立でもあったことを明かした。山内志朗は「至福直観と享受」を執筆、西洋中世における「感情」と「享受」の成り立ちについて明らかにした。伊坂青司は「風土と絵画表現」を執筆、「受胎告知」のテーマから風景画のモチーフが成り立つところに、性の営みの文化化があったことを解明した。加藤尚武は「デューラーとブリューゲルの空間描写の違い」を執筆、人間に特有の表現行為を育む空間認識と空間構成の重要性を、デューラーとブリューゲルの構図の違いに即して明らかにした。 全体として、空間構成や姿の描写に、内面の感情や「心」が反映され、外なるものは内なるものの表現であることを明らかにできたことから、所期の目的を達成することができたと信じる。
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Research Products
(15 results)