2011 Fiscal Year Annual Research Report
南インド現存二学派の収集諸写本に基づくヴェーダ新資料の校訂と研究
Project/Area Number |
20320010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 正人 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (50183926)
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Keywords | ヴェーダ / サンスクリット / インド / ケーララ州 / ジャイミニーヤ派 / ヴァードゥーラ派 / 写本 / 校訂 |
Research Abstract |
本研究は、南インドに伝承が現存するジャイミニーヤ派サーマ・ヴェーダとヴァードゥーラ派ヤジュール・ヴェーダの主要文献を、収集諸写本を中心資料として校訂し研究することを目的としている。研究代表者のほか三名の連携研究者(井狩彌介、梶原三恵子、手嶋英貴)と、複数の研究協力者(海外共同研究者)が研究に参加している。平成23年度の研究実績は以下のとおりである。ジャイミニーヤ派文献に関しては、サンヒターを藤井とアスコ・パルポラ(ヘルシンキ大学)が共同で、ブラーフマナおよびウパニシャッドを藤井が、シュラウタとグリヒヤの両スートラをパルポラが、それぞれ担当して研究を進めた。ヴァードゥーラ派文献に関しては、井狩が校訂しつつあるシュラウタ・スートラを井狩、藤井、梶原、手嶋が共同で、グリヒヤ・スートラを梶原が、それぞれ担当して研究を進めた。平成23年9月にブカレストで開催された第5回国際ヴェーダ学ワークショップで、藤井は、ジャイミニーヤ派とカウトゥマ派のサーマ・ヴェーダ伝統の違いと両学派のウパニシャッドの内容との関係について、パルポラはジャイミニーヤ・シュラウタ・スートラに引用・言及されている学派と文献について、井狩はヴァートゥーラ派のヤジュール・ヴェーダ内での位置づけについて、それぞれ研究発表を行なった。そのほか、藤井、梶原、手嶋は、平成23年4月に南インドのケーララ州で開催されたアグニチャヤナと呼ばれる大規模なヴェーダ祭式を観察・記録し、その地域におけるヴェーダ諸学派の祭式と口承の現状に関する情報を収集した。さらに、同3人は平成24年1月に、1昨年度に引き続き、ジャイミニーヤ派とヴァードゥーラ派の伝承地において伝承家系と写本の調査を行なった。今回はケーララ州内のタミル・ジャイミニーヤ派の伝承地においても調査するとともに、ヴェーダ祭式伝承の中心となっているカウシータキ派リグ・ヴェーダの家系と伝承についても調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象としている南インド現存二学派(ジャイミニーヤ派、ヴァードゥーラ派)に関して、未出版ないし未研究の文献の校訂と研究、およびそれと密接に関連する写本とヴェーダ伝承に関する現地調査がほぼ計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ジャイミニーヤ派とヴァードゥーラ派の文献について、研究代表者、連携研究者、研究協力者が分担して校訂と研究を行ない、最終年度である平成24年度には成果の取りまとめを行なう。さらに、両学派の写本と伝承家系の調査を続行し、南インド(特にケーララ州)のヴェーダ伝承(写本・口承・祭式)の実態と、ヴェーダ伝承と伝承者社会との関係に関する研究をまとめる。
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