2009 Fiscal Year Annual Research Report
境界の消失と再生-19世紀後半から20世紀初頭の欧米文学
Project/Area Number |
20320054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 智之 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 教授 (20218134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 和弘 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (60121381)
田所 光男 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (40179734)
長畑 明利 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (90208041)
藤井 たぎる 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (00165333)
松下 千雅子 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (90273200)
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Keywords | 英米文学 / 独文学 / 仏文学 / 芸術諸学 / 世紀転換期 / 境界 / ユダヤ人 / ジェンダー |
Research Abstract |
我々の研究対象としている19世紀後半から20世紀初頭という時代は、非常に多くの問題を含んでいるため、初年度同様、分析対象・問題のしぼり込みを行いながら、資料の収集を続けた。特に、宮城県美術館で、1898年から1903年にオーストリアで出されていた美術雑誌Ver Sacrumの大部分を写真撮影し、それをDVD化することができた。世紀転換期の他の美術雑誌は、リプリント版などが発行されているものもあるが、Ver Sacrumは国内で閲覧することすら非常に困難で、今回得られたデータは極めて価値が高いものである。 平成20年度には、われわれの研究よりも前の時代、18世紀末から19世紀前半にかけてのヨーロッパの市民文化がどのように形成されていったのかを、宮本直美氏を招き講演会を開き、音楽を例に話をうかがったが、平成21年度には、われわれの研究している19世紀後半から20世紀初頭にかけての欧米の文化・芸術が、その後どのように受け継がれ発展していったのかを、アメリカからスーザン・マニング氏を招き、「大西洋を越えたドイツ表現舞踊」のタイトルで講演をしていただいた。時に、ドイツ表現舞踊がアフリカ系アメリカ人舞踊家へ与えた影響など、国境や文化圏を超えた戦間期の文化交流は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ語圏などを研究の対象としている我々の研究を、広い視点から捉えるための大きな示唆が得られた。 このように、平成21年度には、各自分析対象・問題を絞った研究を深めるとともに、講演会などを通じ、本研究の研究対象である時代よりも前の時代や後の時代のヨーロッパ文化のつながり・流れを意識することで、9名が加わっている本研究をひとつの研究としてまとめていく準備を整えることができた。
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Research Products
(21 results)