2010 Fiscal Year Annual Research Report
言語知識とその獲得・史的変化・運用機構を説明する言語機能モデルの構築
Project/Area Number |
20320070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大津 由紀雄 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (80100410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 典子 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70111739)
杉崎 鉱司 三重大学, 人文学部, 准教授 (60362331)
礒部 美和 東京藝術大学, 言語音声トレーニングセンター, 助教 (00449018)
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Keywords | 生成文法 / 言語機能 / 言語獲得 / 言語運用 / 史的変化 |
Research Abstract |
(1)全体会議で、これまでの研究成果について自己評価を行い、本研究の構想、研究の進め方などについて協議した。 (2)ミニマリスト・プログラムに基づく言語機能の解明研究で中核的問題となる、言語機能と認知体系のインターフェイスにおける相互作用について、syntax-phonology interface、syntax-semantics/pragmatics interfaceおよびprocessing systemの各様相にかかわる現象として削除現象および文断片をとりあげ、言語間変異と普遍特性について研究をおこなった。 (3)生得的言語機能の中に存在すると仮定される「言語間変異を司る制約」に関し、言語獲得の観点から、その所在と具体的な性質に関して検討を行った。言語現象として、(i)英語・スペイン語における「断片的な答え」、(ii)日本語における階層構造、(iii)日本語における項削除とその制約の3つに焦点を当てて研究を実施し、言語獲得に関する新たな事実を発掘するとともに、「言語間変異を司る生得的制約」への理論的含意を明らかにした。 (4)前年度行った予備実験を基に、日本語を母語とする幼児がかきまぜ文の理解の際に韻律情報を利用できるかについて、本実験を実施した。その結果、幼児は韻律情報を利用し、正しくかきまぜ文を理解できることが明らかになった。その成果を、国際学会で発表した。 (5)ミニマリズムの視点が言語獲得および言語変化に関する研究にどのような影響を与えるのかについて検討した。 (6)2から5の研究成果を統合された枠組みの中でどのように位置付けるかについて検討した。 (7)全体会議で今後の課題について検討した。
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