2008 Fiscal Year Annual Research Report
学習書を通して見る近代日本における朝鮮語教育史の多元的・実証的研究
Project/Area Number |
20320081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 晃次 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (90291450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 謙一 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (00271453)
呉 大煥 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (20340218)
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Keywords | 朝鮮語教育史 / 韓国語教育史 / 朝鮮語研究会 / 朝鮮文朝鮮語講義録 / 伊藤韓堂 / 李完応 / 朝鮮語学 / 韓国語学 |
Research Abstract |
書誌学的基礎を共通の基盤として構築するため、朝鮮語研究会発行の学習書の解題を試みた。その過程で、『朝鮮文朝鮮語講義録』(以下、『講義録』)が形態・内容共に予想以上に複雑であると判明し、その分析を中心に研究を進めた。その結果は以下の通りである。 1.元来通信教育教材である『講義録』は記事別に綴じ直して利用することを前提とし、「(雑誌の)バラ」・「綴り」・「合本」・「製本」と呼ぶべき諸形態が存在する。「合本」は同一奥付でも基本的には内容が異なる。これらの諸形態が国内外で17種確認できた。 2.第1回・第2回『講義録』は「(雑誌の)バラ」の原形が保たれておらず、第3回『講義録』の「(雑誌の)バラ」や「合本」等を参照しつつ、それらの復元を試みた。 3.記事内容の分析から、「旧朝鮮語学」というべきものが存在することとその内容を明らかにした。これは「戦前」の日本人対象の朝鮮語教育での文法や教育法である。また、そこでの朝鮮語認識が「戦後」のものより深いこと(但し、それによる教育の成果は不明)、新旧朝鮮語学は、官の組織の一部を除いて基本的には断絶していることも明らかになった。 4.朝鮮語研究会が、従来言われているような官製団体ではないことが明らかとなった。 5.『朝鮮思想通信』の分析により、著者等の経歴・人脈・人間関係等が判明した。 6.国内の地方図書館に「旧朝鮮語学」の教科書・辞書類多数が所蔵されると判明した。 7.韓国内にも「旧日書」として、大量の資料が存在しており、その利用法を開拓した。 8.徹底的な「現物主義」により、影印本を資料とする研究の危険性が明らかになった。
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Research Products
(7 results)