2010 Fiscal Year Annual Research Report
学習書を通して見る近代日本における朝鮮語教育史の多元的・実証的研究
Project/Area Number |
20320081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 晃次 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (90291450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 謙一 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (00271453)
呉 大煥 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (20340218)
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Keywords | 朝鮮語教育史 / 韓国語教育史 / 旧朝鮮語学 / 朝鮮語学習書 / 朝鮮語研究会 / 朝鮮語奨励試験 / 朝鮮語学習 / 朝鮮語教育 |
Research Abstract |
これまで2年間の研究成果に加え、1.都道府県立図書館蔵の「旧朝鮮語学」に基づく学習書の書誌的調査、2.『朝鮮語文朝鮮語講義録』以外の「旧朝鮮語学」に基づく学習書の資料収集と分析、3.『朝鮮文朝鮮語講義録』の教育科目の内容分析等の研究を行った。 成果は以下の通りである。 1については、当該資料の基礎的な書誌調査をほぼ終えた。2については、宝迫繁勝・赤峰瀬一郎ら明治期前半に活動した人物とその著作、さらに、薬師寺知〓・伊藤伊吉らその後の時期の代表的人物とその著作を中心に人物の経歴の調査と著作の解題を行った。3については、掲載記事の整理・分析を行った。この他、朝鮮人教師56名の経歴等を明らかにした。 また、朝鮮語教育史研究のアプローチ法として、原物を実見した資料に基づく「原物主義」に加え、「人物史主義」を確立した。これは、朝鮮・朝鮮語と関わらない時期をも含めたその人物の生涯を通して、時代の中にその人物や著作を位置づけて考察する方法である。この方法は、予め想定された結論に向かって、あるいは、ある人物の経歴の一部やその時期の言説を取り上げて分析が行われがちであった従来の研究とは異なる。 以上により、学習書を通して見る近代日本における朝鮮語教育史の実像の一端が多元的・実証的に明らかになった。また、朝鮮語教育史研究の新たな方法が確立された。
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