2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の文法能力発達段階の解明および文法指導に関する第二言語習得研究
Project/Area Number |
20320083
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
村野井 仁 東北学院大学, 文学部, 教授 (20275598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白畑 知彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (50206299)
若林 茂則 中央大学, 文学部, 教授 (80291962)
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Keywords | 応用言語学 / 英語教育学 / 第二言語習得 / 文法習得 / 言語テスト / 文法発達段階 / 文法テスト / 処理可能性 |
Research Abstract |
本研究では、第二言語習得理論に基づいて日本人英語学習者の文法発達段階を異なるアプローチによって明らかにした。 研究代表者村野井は、文法発達段階を明らかにするため35の文法事項の習得順序を把握するための実験を行った。文法運用能力を測定するための音声文法テストおよび筆記文法テストを開発し、日本人大学生英語学習者を被験者(音声テストn=44,筆記テストn=215)として、データを収集し35の文法項目の発達段階を明らかにした。音声テスト、筆記テスト両方において文法処理操作の多い文法事項の正解率が低く、処理可能性理論を支持する結果が見られた。この他、習得の難しさに影響を及ぼす複数の要因を因子分析によって抽出した。さらに研究代表者は、文法テストによって習得困難であることが明らかになった間接疑問文(疑問詞および補文標識を用いるもの)を目標言語形式として、3つの異なる指導方法(アウトプット重視法、意味理解重視法、文法訳読法)による教育的介入の効果を測定し、アウトプット重視法の有効性を確認した。 研究分担者白畑は、静岡県沼津市の中学3年生を対象に、彼らの文法能力の習熟度を過去3年に渡って収集してきた。その膨大なデータを23年度はまとめる作業を行ってきた。その研究成果の一部は、24年8月におこなわれる全国英語教育学会愛知大会で発表する予定である。 研究分担者若林は、従来の処理可能性理論で予測されている形態素習得と統語習得との関連性が実際のデータには見られず、拘束形態素のほうが自由形態素より習得困難であることから、文献研究及び実証研究を通して、第二言語習得における拘束形態素の難しさの原因について、派生形態素と屈折形態素の類似点と相違点、拘束形態素の使用に見られる統語環境の影響などの面から調査した。また、統語構造については、特に、動詞や前置詞の補部選択に係る統語範疇上の制約の習得が難しいことも明らかになった。
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