2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国朝鮮族と回族の民族教育と民族アイデンティティ形成に関する総合的研究
Project/Area Number |
20320113
|
Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
松本 ますみ Keiwa College, 人文学部, 教授 (30308564)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敦子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90195769)
小林 元裕 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (80339936)
権 寧俊 県立新潟女子短期大学, 国際教養学科, 准教授 (20413172)
|
Keywords | 中国近現代史 / 朝鮮族 / 回族 / アイデンティティ / 民族教育 / 公教育 / 移動 / 国民統合 |
Research Abstract |
本年度は、中国朝鮮族と回族の民族教育と民族アイデンティティ形成の相関関係について近代史と現在の双方の観点を見据え、文献研究とともにアンケートやインタビューといったフィールドワークに基づき行われた。平成20年6月7日には第一回研究会、11月30日には第二回研究会を開催した。研究組織を構成する研究者が全員集まり、前者では今までの各自の研究をレビューし、後者では新しい研究知見を持ち寄り活発な論議を行った。6月8日には小林(元)、小林(敦)、松本、花井が、八路軍とともに東北を巡った83歳のIM氏へ、また花井、松本が7月20日には延辺出身のもと朝鮮人で現在浅草在住の85歳のNT氏へ昭和16年以前の延辺での朝鮮人教育についてのインタビューを行った。7月末から8月まで権はソウルで朝鮮族出稼ぎ労働者のアンケート調査とインタビュー、8月末に松本と花井は延辺と長春で複数の朝鮮族の老人に45年8月の光復前後の民族教育についてインタビューを行った。その後花井は上海に移り、朝鮮族の出稼ぎ労働者にアンケート調査を行った。8月19日から9月2日に砂井は福建の調査地で成達師範学校出身の回族老人にインタビュー、12月24日から30日まで小林(敦〉と松本は広州で寧夏出身回族出稼ぎ通訳の面接調査を行った。平成21年2月末から3月初まで花井は済南在住の朝鮮族女性SR氏を訪れ面談。戦前の朝鮮人女子教育の実態を聞きとるとともに、上海と延辺の朝鮮族にアンケート調査を行った。その結果、両民族の戦前からの民族教育の具体像が鮮明となった。さらに朝鮮族のアイデンティティの根拠としての朝鮮語が、漢語の重要性が増大するにつれ学習されなくなり、それとともに朝鮮人意識が希薄化していること、回族はイスラーム民間教育を受けて反対にムスリム意識が強まっていることが明らかになった。
|
Research Products
(17 results)