2011 Fiscal Year Annual Research Report
縄文・弥生社会の人口シミュレーションと文化変化モデルの構築
Project/Area Number |
20320123
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 直子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (30314660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 武彦 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (50238995)
津村 宏臣 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (40376934)
安藤 広道 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (80311158)
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Keywords | 縄文時代 / 弥生時代 / 人口動態 / シミュレーション / 形態分析 / 遺跡データベース |
Research Abstract |
遺跡データベースと分析 縄文時代については、鳥取県を中心にデータベースを拡充し、ほぼすべての縄文時代遺跡を網羅した(松本)。弥生時代の関東については、甲府盆地~諏訪湖一帯と東京湾西岸鶴見川流域一帯の二つの地域の弥生時代遺跡データベースの修正、データの追加を行った。幾つかの遺跡については現地踏査を実施して遺跡の現況や周辺の地形等を確認し、その成果をデータベースに反映させた(安藤)。岡山県南部地域の集落遺跡で検出された、紀元前10世紀~紀元後7世紀前半の竪穴住居約2000棟のデータを集成して、各所属土器型式毎に計数し、AMS炭素年代法で得られた各土器型式の継続年数で割り振ることによって、時期ごとの住居数とその変化を明らかにした。さらにその結果を、時期の判明した埋葬の数によって検証を試みつつ、現時点で蓋然性の高い人口推移のプロセスを具体的に復元した(松木)。 土器の形態分析 岡山大学における津島岡大遺跡出土縄文時代後期土器群を対象とし、Roland社製PICZALPX-60DSを用いて0.2mmピッチで断面データを取得した。これらのデータを2値画像に変換してチェーンコードを求め、N=20の楕円フーリエ記述子に変換した。こうすることで、一つの土器断面形状を77次元の定量データとして記述することができ、その分布から形状の類似度を測定することが可能となった。主成分分析の結果、時間的変化を反映する成分と、それ以外の変異を分離することができた(津村・松本)。 シミュレーション研究 昨年度作成したプログラムを用いて変数を変えながら試行を繰り返し、発見されたバグを修正した。また、人口の増減や移動状況を視覚的に確認できるようなインターフェイスも追加した(松本・笹倉)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間中2度(合計1年半)にわたる育児休業による研究の中断があったため、予定通りに進められていない部分もあるが、予定していた研究のうち、シミュレーションに関するものと、土器の形態分析については、遅れを取り戻すことができた。GIS分析については、今年度は遺跡データベースの拡充を中心に行ったが、それに基づいて来年度は実質的な分析を進められる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
土器の形態分析については、今年度基礎的な作業を確立することができたので、それに基づいて資料を増やし、文化変化のモデル化につながるような結果を得るべく分析を進める。シミュレーション研究については、今年度連携研究員であった笹倉万里子を研究分担者として、プログラムの改良およびシミュレーション結果の解析を進めるとともに、遺跡データベースから推定される人口変動との比較を念頭に置いた試行を行っていく。また、研究プロジェクトの後半に入るため、これまでの成果を踏まえて研究分担者間のディスカッションを行って問題点を整理するとともに、人口変動と文化変化に関するモデル化の作業を進める。
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Research Products
(1 results)