2008 Fiscal Year Annual Research Report
「マイクロサッカードとしての在来知」に関する人類学的研究
Project/Area Number |
20320131
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
杉山 祐子 Hirosaki University, 人文学部, 教授 (30196779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我 亨 弘前大学, 人文学部, 准教授 (00263062)
大村 敬一 大阪大学, 言語文化研究科, 准教授 (40261250)
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Keywords | 在来知 / 動的把握 / 身体 / 関係性 / 変化 / 養蜂 |
Research Abstract |
研究計画の初年度にあたる本年度は、1. 全体の活動として計3回の研究会を開催し、各自の個別フィールドにおける研究成果の発表、課題の抽出と関連文献のレビューをおこなった。また、それにもとづいて、「動き」から在来知を照射する視座に関する議論を進めた。その結果、「動く身体」が埋め込まれた環境とそれへの働きかけとしての在来知への目配りの重要性が確認された。2. 基盤フィールドである秋田県鹿角市においては、移動養蜂業者の技術、知識を中心とした共同調査を開始した。3. 個別フィールドにおける調査活動は次の通りである。1) 青森県弘前市近郊岩木川におけるウグイ漁に関する調査(研究分担者 : 曽我亨)により、漁法のバリエーションが水流の微妙な変化を感知する漁師の知と対応することが明らかになった。2) 極北カナダイヌイットにおける自然認識に関する在来知の調査(研究分担者 : 大村敬一)、3) オセアニア、バヌアツ島における風の変化と漁に関する在来知の調査(研究連携者 : 竹川大介)、4) 移動養蜂業者の移動と蜂飼養、環境の変化を中心に、秋田県、青森県、北海道での調査(研究協力者 : 佐治靖)。5) アフリカ農耕民アリにおける土器製作技術の伝承に関する調査(研究協力者 : 金子守恵)、6) アフリカ焼畑農耕民ベンバにおける農法の変化と技術革新にかかわる歴史」(フォークイノベーションヒストリー)に関する文献調査(研究代表者 : 杉山祐子)。これらにより、個別フィールドにおける在来知の動的把握にむけた足場が築かれた。また、在来知を構成する「動き」に、自然環境の微細な変化や歴史的変化、人びとの移動などを契機とした広義の環境の変化などを取り込む必要があることが明らかになった。
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