2008 Fiscal Year Annual Research Report
紛争解決類型の比較史-前近代における社会的調整のありかた-
Project/Area Number |
20330003
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
北野 かほる Komazawa University, 法学部, 教授 (90153105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若曽根 健治 熊本大学, 法学部, 教授 (40039970)
西村 安博 同志社大学, 法学部, 教授 (90274414)
佐藤 猛 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (30512769)
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Keywords | 裁判 / 仲裁 / 和与 / フェーデ / 平和 / 紛争解決 / 紛争回避 |
Research Abstract |
(1)英・独・仏・日の前近代紛争解決研究の現在の学会状況についての情報を共有し、それぞれの研究領域での現時点での研究成果情報を交換して、2008年度後期以降のそれぞれの具体的研究の方向性を調整した(8月第1回研究会:招待報告を含む)。(2)前近代紛争解決類型の比較的理解のための理論モデルの試案について意見交換し、修正案に向けての検討を行った(12月第2回研究会:招待報告を含む)。(3)若曽根のライフワーク・テーマである「紛争と平和」を巡って、これまでの研究業績を総合的・体系的に整理し、理解を深めるための意見交換を行った(2月第3回研究会)。この過程で、史料にはすでに生じている紛争の解決と将来起こりうる紛争の回避とを区別することが必ずしも容易でない記述が見られる可能性があることが確認され、これについては、紛争の解決と紛争の回避を予め類型的に区別するのではなく、むしろ紛争の回避も広義の紛争解決に含めることで、前近代における「紛争」の観念を再検討する必要があることで合意した。分析の作業においては、断片的史料から記載内容がすでに生じている紛争の解決であるのか、将来起こりうべき紛争の回避であるのかをただちに判断することが難しい場合が少なくない。しかし逆に、この観点を導入することにより、従来は単なる契約文書と考えられてきた文書をも対象にして、紛争の危険性の認識という角度から、前近代の多用な社会における「法」の観念あるいは感覚と社会生活におけるその効用について視野を広げていけるものと考えている。
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Research Products
(16 results)