2008 Fiscal Year Annual Research Report
民事訴訟手続による集合的権利保護制度の立法論的研究
Project/Area Number |
20330016
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三木 浩一 Keio University, 法務研究科, 教授 (20199970)
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Keywords | 集合的権利保訴訟 / クラスアクション / 消費者団体訴訟 / 消費者庁 / 拡散的権利 / 現地調査 |
Research Abstract |
現代社会では、消費者利益の保護に関する権利に代表されるように、権利者各個人による個別の行使が現実的に期待できない拡散性の高い権利が存在する。こうした権利を効果的かつ集団的に保護するために、世界的に集合的権利保護訴訟制度の構築と運用に向けた検討が進んでいる。わが国でも、消費者団体訴訟制度の導入や消費者庁設置の議論に見られるように、消費者権利の集合的な保護に関する新制度の創設は、早急に取り組むべき最重要課題のひとつである。また、集合的権利保護訴訟の構築においては、アメリカをはじめとする英米法諸国のクラスアクション制度を何らかの形でモデルにせざるを得ないが、これは互いに相容れないものと思われてきた大陸法型の訴訟制度と英米法型の訴訟制度の融合という、法律学上のチャレンジングな試みでもある。こうした動きも21世紀に入って急速に加速度を増しており、ヨーロッパの一部の国々では、大陸型団体訴訟とアメリカ型クラスアクションの架橋を意図した立法が現れ始めている。こうした状況に鑑み、本研究では、すでに何らかの形で集合的権利保護訴訟制度を有している国々を対象に、制度構築において検討した課題、制度の比較法的な特徴、制度運用の実態と課題などの調査を進めている。平成20年度は、全体で3か年に分けた海外現地調査の初年度にあたる。同年度の調査対象国は、アメリカ、カナダ、オランダ、デンマークが選ばれた。そこで、研究メンバーを北米チームと欧州チームに分け、事前準備のための文献調査を分担して行い、国内会合を開いて全員で検討を加え、文献調査で知りうる事項と現地調査を要する事項を仕分け、現地訪問先を選定して質問状を書面で送付し、最終的に各チームが現地に赴いて聴き取り調査と資料の入手を行った。帰国後は、国内で研究会を開いて結果を分析するとともに、現在、法律雑誌への公表を準備中である。
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