2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330020
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤本 亮 静岡大学, 法務研究科, 教授 (80300474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 真理 静岡大学, 法務研究科, 教授 (70289750)
宮下 修一 静岡大学, 法務研究科, 准教授 (80377712)
小谷 順子 静岡大学, 人文学部, 准教授 (40359972)
野口 裕之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60114815)
藤田 政博 関西大学, 文学部, 准教授 (60377140)
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Keywords | 法学教育・法曹論 / 法知識 / テスト理論 / IRT / 法学試験 |
Research Abstract |
既修者試験データをベースとした前年度に実施したウェブ調査データを利用して、法律試験の年度間等化が可能であるかどうかを検討した。通過率の下方への偏りにより、民法と刑法についての分析は実施できなかったが、憲法の問題でそれを試みた。ウェブ調査参加者を共通受験者として、その受験者能力尺度値を素得点により推定し、年度間等化を行い、非実験項目(実試験では用いられたが、ウェブ調査には含まれていない項目)の項目特性値を共通尺度化した。この結果、実試験結果の年度間比較が可能となり、また受験者集団の能力分布の違いも観察することができた。したがって、十分な項目プールが存在すればではあるが、法律学テストにおいても、現代的テスト理論(項目反応理論)を応用した運用ができ、「競争・選抜」型の一回限りのテストから、「資格・能力測定」型の比較可能なテストとして実施することができることがあきらかとなった。これは、法学検定試験の結果を「○級合格/不合格」の二値ではなくて、たとえば「法学能力値=○○○点」という形で示すことができることを意味する。 しかし、このような項目プールを前提とした資格試験の運用には、一回限りで問題を完全公開する競争試験を重用する「日本のテスト文化」が障害となっていることも明らかとなった。それでもなお運用方法に工夫を凝らし法学検定試験を能力値を示すことができるテストとして実施していく意義は大きい。 またウェブ調査の分析において、5項目単位で解答時間を測定・した結果を分析したところ、極めて短時間で解答しているなどの不誠実な解答を析出することができた。今後社会調査やマーケティングで多用されていくと思われるウェブ調査の精度を上げるためのみならず、項目の質を厳密に測定するためにも解答(回答)時間を調査することの意義が明確となった。
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