2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける「冊封・朝貢」の終焉とその記憶の形成過程
Project/Area Number |
20330031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 真 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (90301861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 敏夫 東京女子大学, 現代文化学部, 教授 (10239577)
岡本 隆司 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70260742)
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Keywords | 冊封 / 朝貢 / 互市 / 記憶 / 伝統的外交 / 主権 / 領土と版図 / 国際的地位 |
Research Abstract |
本研究では、冊封・朝貢などという語とともに用いられる中国を中心とする伝統的な国際秩序なるものが、存在の有無への問いも含めて、それが果たしてどのようなもので、どのように意識化されてきたのかということを、19世紀の後半から20世紀後半に至る長期的なスパンで解明することを目的とする。本共同研究で明らかにしようとしているのは、東アジアにおいて、(1)伝統とされる{冊封・朝貢+互市}がどのように終焉したのか(あるいはしなかったのか)、(2)過去のものとなったこうした対外関係の枠組み、秩序がどのように記憶され、教育などを通じて制度化されたのか、(3)そういった制度化された記憶に基づく自己/対外認識が具体的にどのように現代外交、現代東アジアの国際政治に影響を与えているか、という三点である。これに対して、科研の最終年度の本年には、2011年3月に中国近代外交史研究会を開催し、川島と岡本の近著および本科研の協力者たる五百旗頭薫の近著の書評会を開催し、また清や日本の近代的な対外関係形成過程に関する報告会も実施し、多くの参加者を得て活発な議論がおこなわれた。また、それぞれのメンバーが、たとえば川島真「近現代中国における国境の記憶-「本来の中国の領域」をめぐる」(『境界研究』、1号、2010年、1-17頁)や、岡本隆司「朝貢と互市と會典」(『京都府立大学学術報告(人文)』第62号、2010年12月、17-47頁)などの研究成果を公刊した。
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