2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 晴雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (10144396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 章 一橋大学, 経済学研究科, 教授 (90152298)
渡邊 直樹 筑波大学, システム情報学研究科, 准教授 (20378954)
堀 一三 立命館大学, 経済学部, 准教授 (60401668)
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Keywords | 提携 / 提携形成 / 協力ゲーム / 非協力ゲーム / 契約 |
Research Abstract |
今年度は、提携の基礎理論へとつながる課題を中心に研究を行い、これまでの総括となる構図の策定を行った。とくに、これまで分析してきた重層的提携構造を導く体系とは異なる、事前契約により配分を先決しながら、アクションの意思決定を代表に委任するという設定の下での提携形成分析を概観し、類似点もあるがかなり異なった結果が得られることが確認された。以上の結果にかかわり、契約構造の分析は提携の基礎にかかわるが、動学的設定下での非対称情報の分析から得られる知見も合わせて、今後の重要な課題であることや、国際協定などの応用分野において、将来の有効な分析視点となることが確認された。 個別のトピックでは、従来から進めてきた重層型提携構造が出現するモデルでの定性的性質の導出、においては、順序無依存型均衡に絞った分析の限界が確認されるとともに、上述のような、新たな設定の下での可能性が認められ、次のステップへの準備的考察を行った。とくに、交渉ゲームでのプロトコルへの依存が強く、選好の種類やタイプについてのさらなる拡充が必要であることが予想される。また、基本モデルの逐次提携形成交渉モデルの定常完全均衡が、ランダム提案者プロトコルのもとで存在する事実など基本的な性質を導いた。 応用面では、投票ゲームの実験において、提携形成の一つの要因ともされる認識能力や類推援用力、あるいは複雑な手続きを追加する場合の処理力などの限定合理性の側面が持つ影響力とその限界を確認し、また、提携形成モデルの労働市場への応用などを試みた。 非対称情報の分析では、いわゆる投資保護問題を動学的非対称情報の設定下で分析を進め、そこで取り上げられる契約の提携契約としての機能を吟味した。 提携の基礎的な研究としては、基本的な繰り返しゲームに基づく協力維持を明示的に取り入れた分析において、再交渉が効率性を担保するという命題を成果として発表している。
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Research Products
(9 results)