2009 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済と法制度の相互関係に基づく雇用法制の研究:解雇法制を中心に
Project/Area Number |
20330043
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江口 匡太 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (50302675)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 亮一 九州大学, 留学生センター, 准教授 (10298507)
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (40326004)
内藤 久裕 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (00335390)
原 昌登 成蹊大学, 法学部, 准教授 (80312536)
平澤 純子 川口短期大学, ビジネス実務学科, 専任講師 (50517224)
|
Keywords | 解雇法制 / 解雇権濫用法理 / サーチ理論 / 不完備契約 |
Research Abstract |
本研究は、解雇法制の実態を解明し、解雇法制が与える雇用形態、雇用法制への影響を分析し、ひいては経済に与える効果を推計し、望ましい雇用制度の姿を考えることを目的としている。 本研究では、主に二つの視点から研究にとりかかっている。 ひとつは、解雇規制を解雇費用として単純化してとらえることによって、社会経済への影響を数量的に把握することである。この分析手法は経済学で広く用いられている方法であり、近年も様々な研究成果が出されている。本研究では、近年の成果をサーベイしつつ、賃金の硬直性や労働者の動機付けという新たな視点を導入して、数量的な分析を進めている。 もう一つは、解雇規制を解雇費用と単純に考えるというよりは、労使関係の構築に影響を与える制度的インフラとしての側面に注目する視点である。良好な労使関係の構築に解雇規制がどのような影響を与えるのか、労使間で自発的なルールづくりはどこまで可能なのか、政府が介在する必要性があるのか、などが現在想定されている課題である。 平成21年度は、やや広い視点から考える必要性から、外部の専門家を研究会に招いて専門的な意見を徴収した。具体的には、後者の問題意識との関連で、九州大学の吾郷眞一氏から労働環境をとりまくCSRの可能性と限界について、前者の問題意識との関連で、国際大学の宮本弘曉氏から経済モデルのシミュレーションの現状について専門的知識の提供を受けた。また、それぞれの研究者が自身の研究を深めるとともに、解雇規制が労使の協調関係を改善する可能性について理論的に検討した。
|