2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末廣 昭 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60196681)
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Keywords | 経済政策 / 社会保障 / 年金制度 / 退職金制度 / 雇用問題 / 生命保険業 / 東アジア |
Research Abstract |
平成22年度は、東アジアの7カ国・地域(中国、台湾、韓国、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア)について、(1)高齢者に対する所得保障制度とその実態(中国、台湾、韓国)、(2)高齢者に対するケアの制度とその実態(マレーシア、シンガポール)、(3)政府の年金制度を補完する本人と使用者の双方が負担する企業年金制度(プロビデントファンド、タイ)、(4)日本を含む北東アジアにおける失業保険の4点について調査を実施し、その成果をまとめた。また、これと並行して、平成20年度から実施している「東アジアの生命保険業の発展」についても、データのアップデートと補充を行い、不安定化している「老後の所得保障」への対抗措置として、貯蓄型の生命保険業が、東アジア各国・地域で伸びている事実を確認した。これらの調査結果については、末廣昭編著『東アジア福祉システムの展望-7カ国・地域の企業福祉と社会保障制度』(2010年、ミネルヴァ書房、410頁)、末廣昭編『東アジアの生活保障システム-高齢者対策と生命保険業』(2010年、東京大学社会科学研究所、204頁)に引き続き、『東アジアの生活保障システムと年金・退職金制度』(2011年、東京大学社会科学研究所、249頁)として、それぞれ刊行した。この研究を通して明らかになったのは、経済発展が著しい東アジアは、同時に「中進国」の課題である急速な高齢化問題にも直面しており、その結果、雇用、医療、所得、介護の4つの分野において、不安定性が増している(生活保障制度の未発達)という事実である。以上の共同研究の結果については、社会科学研究所の紀要である『社会科学研究』(第63巻第3号、2012年3月)に「特集形式」で論文を掲載する予定でいる。
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Research Products
(15 results)