2010 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境問題指向型技術選択を重視した動学的応用一般均衡モデルの開発
Project/Area Number |
20330048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伴 金美 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (30027578)
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Keywords | 応用一般均衡モデル / CGEモデル / 技術選択 / 地球環境 / エネルギー / 二酸化炭素削減 |
Research Abstract |
本年度の研究成果の第一は、家計調査データに基づいて家族構成・耐久消費財保有状況・住居形態とエネルギー利用の関係を分析し、(1)電気製品の寿命が長く、エネルギー効率の改善を妨げているが、エコポイントなどによる買い換え促進策が有効に働く、(2)高効率給湯機の普及は、家計のエネルギ己効率に改善に有効であるが、さらなる普及には省エネ診断士のようなアドバイザー制度が必要である、(3)高断熱住宅の普及は新築については高いが、既存住宅については改築意欲が低い、(4)戸建て住宅のエネルギー効率が低く、集合住宅への移行が望ましい、という実証結果が得られた。経済モデルはプライスメカニズムが基本であるが、情報の不確実性から、誘導的な仕組みをどのように入れるかの課題が残った。 第二は、非連続的な新技術導入プロセスを陽表的に取り入れた動学的応用一般均衡モデルを世界的な枠組みに拡張したことである。GTAPデータを8地域・15部門に再編して社会会計表を作成し、Intertemporal Optimization型動学CGEモデルを作成した。このモデルを用いることでコペンハーゲン合意に基づく2020年における各国の削減目標を入れた分析を行った結果、(1)削減目標を持つ国・地域の二酸化炭素排出量が15億7千万トン減少するのに対し、削減目標を持たない国・地域の同増加量が1億6千万トン増加し、炭素リーケージは10%にとどまり、世界全体の削減に寄与するこ、とができる、(2)日本の削減目標である1990年比25%を日本国内で全量削減する場合、2020年のGDPは1.4%の減少にとどまり、産業別に見れば、鉄鋼の生産が10%低下するが、機械機器・輸送機器の生産に対する影響は軽微である、(3)日本と中国が二国間クレジットで10%削減すれば、両国のGDPにプラスの効果をもたらす、(4)再生可能エネルギーの普及は、二酸化炭素削減と産業の活性化にとって有効である、が明らかにされた。
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Research Products
(2 results)