2011 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境問題指向型技術選択を重視した動学的応用一般均衡モデルの開発
Project/Area Number |
20330048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伴 金美 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (30027578)
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Keywords | 応用一般均衡モデル / CGEモデル / ボトムアップモデル / トップダウンモデル / ハイブリッドモデル / 地球環境問題 / 二酸化炭素排出削減 |
Research Abstract |
ボトムアップ技術選択モデルとトップダウン型経済モデルを採り入れたハイブリッド型応用一般均衡モデルを構築し、エネルギー・環境政策のあり方を評価するツールを開発した。特に、福島第1原子力発電所事故により、日本のエネルギー政策を根本から見直す必要に迫られている。もちろん、原子力エネルギーに代わるものとして火力発電があるが、二酸化炭素排出の増加につながることから、二酸化炭素削減を目標とする国際社会に対する公約遵守とも背反することとなる。 今回開発された応用一般均衡モデルは、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの重要性に鑑み、利用可能な技術として明示的に採り入れられており、再生可能エネルギーを普及させるための政策、例えば、全量買い取り制度の創設が再生可能エネルギーの普及にどれだけ貢献するか、それが日本経済に対してどのような影響を与えるかを評価している。さらに、将来有望視される二酸化炭素回収・貯留技術についてもモデルに採り入れており、2030年代後半からの利用可能性を明らかにされている。もちろん、これら低炭素社会を実現するための技術が採択されるには、炭素排出に価格付けをすることが必要となるが、開発されたモデルを使うことで、そのための限界削減費用を試算することができている。研究結果によれば、二酸化炭素の削減費用は、これまで考えられていた水準よりも低く、原子力への依存を段階的に縮小しても、低炭素社会の実現の可能性の高いことが明らかにされている。 本研究の成果は、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会と中央環境審議会地球部会で報告される予定になっており、日本のエネルギー・環境政策に対して大きな影響力を与えることが期待されている。
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Research Products
(9 results)