2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
Developing Dynamic Applied General Equilibrium Model based on technologies for Global Environment
Project/Area Number |
20330048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Applied economics
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
BAN Kamemi Osaka University, 大学院・経済学研究科, 教授 (30027578)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | 応用一般均衡モデル / CGEモデル / 技術選択 / 地球環境 / 動学的最適化モデル |
Research Abstract |
本研究は、2050年を目標とする地球環境問題を、市場メカニズムを通じて技術選択が陽表的に行われる動学的応用一般均衡モデルを構築することで、技術開発による環境問題解決を一般均衡モデルの枠組みで分析することである。そのために、まず応用一般均衡モデルに非連続的な技術選択を陽表的に取り入れる方法を検討し、動学的な視野に基づいて、研究開発投資のような固定費用の存在を考慮したモデル開発を行う。その場合、ボトムアップ型の詳細な代替的技術情報は外部情報として利用しつつ、複数のアクティビティの組み合わせを市場メカニズムに基づいて決定するトップダウン型のモデルを構築する。技術の研究開発に必要となる固定費用は、資本とは別に技術資本として取り扱うが、資本とは異なり、固定費用の存在による収穫逓減の性質を持つことから、研究開発によって生じる費用負担については限界原理ではなく、マークアップ方式によるものとする。したがって、研究は次のような段階に沿って実施される。 第一段階は、固定費用を必要とする複数の技術アクティビティを内包する静学的応用一般均衡モデルを開発する。当然、応用一般均衡モデルは収穫逓増型の不完全競争モデルとして構築される。なお、本研究において複数の技術アクティビティを持つ産業として、電力を取り上げる。その理由は、発電のための代替的な技術は、未採用の技術を含めて、アクティビティの詳細が既知であることによる。 第二段階は、研究開発投資を貯蓄・投資の動学的な最適化行動に取り入れ、動学的応用一般均衡モデルを構築し、技術選択のタイミングに焦点をあてて研究する。動学モデルの構築においては、貯蓄・投資の決定について動学的最適技法に基づくForward Looking型動学モデルとする。 第一段階と第二段階は日本を対象とする1国モデルであるが、第三段階では、国際的な多国間取引を取り入れた多地域動学的応用一般均衡モデルを構築する。本研究は、2050年を目標とする地球環境問題を、市場メカニズムを通じて技術選択が陽表的に行われる動学的応用一般均衡モデルで分析することである。本研究における国際的多地域多部門動学的応用一般均衡モデルの構築は、GTAPデータベースを用いて行い、詳細な技術情報に基づいて複数の技術アクティビティを取り扱うデータベースを構築する。特に、発電分野における原子力および再生資源の利用技術、二酸化炭素固定化・貯蔵技術などを分析の対象とする。 第四段階は、各段階で構築されたモデルをオープンソースの形でインターネット上に公開することで公共財としてのモデリングの地位を確立することである。オープンソースとしての提供は、応用一般均衡モデルの世界的権威の一人であるThomas F. Rutherford教授が行っているが、本研究もそれに見合うものである。本研究で開発されたモデルを公開することで、多くの助言と協力者が得られることが期待される。
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Research Products
(9 results)