2009 Fiscal Year Annual Research Report
金融制度改革が実態に与える影響に関する理論および実証研究
Project/Area Number |
20330063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳川 範之 東京大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80255588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 純夫 信州大学, 経済学部, 准教授 (60377611)
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Keywords | 倒産 / 企業再建 / 民事再生法 / 法的整理 / 私的整理 / マクロ経済 |
Research Abstract |
本年度については、主に、金融制度改革が実態にどのような影響を与えるかあるいは今後どのような影響を与えるかについての実証分析を行うとともに、そのような制度改革がマクロ経済に対してどのようなインパクトを持つかという点について理論的分析を行った。 金融に関連する制度改革の分析としては、まず,2000年4月の民事再生法施行に始まる倒産処理法制の改革の影響について分析を行った。具体的には,倒産処理法制を設計する上での重要なポイントである、業績悪化時の非効率な倒産処理先送りを抑制するメカニズムに着目し,倒産処理法制改革の中で,早期の倒産手続き着手を促すインセンティブを経営者に与える改正の影響について,年次財務データを用いて実証分析を行った。その分析結果によれば,民事再生法施行より前に法的手続きの申立を行った企業の場合,業績の落込みがあったタイミングから法的手続きに入るまで,平均的にみて5年程度の期間を要していたのに対し,民事再生法施行以降に法的手続きの申立を行った企業では,業績の落込みがあった翌年には,法的手続きに入る傾向があることが確認され,一連の制度改革によって,早期の企業再建着手が促進された可能性が高いことが明らかになった。 また、近年は公開会社法という仮称の下で、金融制度全般にかかわる法制度の改正がさまざま議論されていることから、それらの議論を整理するとともに、その経済活動に対する影響等についても包括的に分析・検討した。 さらに、以上の点を踏まえて、金融制度改革がマクロ経済活動にどのような影響を及ぼすかについても分析を行った。金融危機の発生以降、金融制度がマクロ経済や世界経済にどのような影響を与えるのかについては関心が高まっている。それらの先行研究も踏まえて、金融制度の発展がマクロ経済の拡大を生み出すのか否か、特にバブルの発生との関係に焦点をあてて分析した。
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Research Products
(3 results)