2011 Fiscal Year Annual Research Report
金融制度改革が実態に与える影響に関する理論および実証研究
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20330063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳川 範之 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80255588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 純夫 信州大学, 経済学部, 准教授 (60377611)
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Keywords | 法制度と経済 / 金融システム / 破たん法制 / バブル / 救済政策 |
Research Abstract |
本年度は、金融制度に対して、法制度と民間金融機関との相互作用について考察を深め、一定の成果を得た。まず、金融制度に関する法制度の変遷について、データの整備を行い、制度の影響を検討できるようにした。次にこのデータを用いて、制度が実態経済に与える影響について、実証分析を行った。特に、破たん関連の法制度については、その影響が複雑であり、今年度はこの点についての検証をやや詳細におこなった。 より具体的には、私的整理のプロセスは破たん法制とともに銀行がどのような形で関与しているかが、その成否に大きな影響を与える。そこで、この点に関する詳細な実証分析を積み重ねた。その結果、実はメインバンク自体の財務状況が、私的整理等のプロセスに大きな影響を与えることが明らかになり、法制度と民間金融機関の行動とが、この点でも密接に関連していることが明らかになった点は成果であった。 このように民間金融機関の行動や財政状況が複雑な構造をもって金融システムのパフォーマンスに影響を与えるのだとすると、金融システムとマクロパーフォーマンスとの関係も、その影響を受けると考えられる。そこで、マクロ経済や資産価格への影響についても、このような金融機関の構造についても考慮に入れて考察を行った。特にバブルが崩壊した後の、救済政策が、どのように経済実態に影響を与えるのかについて詳細な検討を行った。その結果、救済政策はモラルハザードを引き起こすという良く知られた影響だけではなく、もっと複雑な影響をもたらすことが詳細に明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請以降、アメリカの金融危機や欧州の経済危機等、本研究に大きく関係する経済実態が、予想外の大きな変動に見舞われた。そのため、本研究もその実態を踏まえた形で修正する必要が生じ、研究実施に多少の変更が生じた。しかしながら、それが結果的に、危機や経済変動の実態を理解するという点において本研究が予想以上に良い成果を得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本研究の最終年度にあたるため、適切な成果を得られるよう、とりまとめに十分注力する。ただし、欧州経済はかなり不安定な動きをしており、今後も本研究に密接に関連して経済実態が、予期せぬ形で大きく変動する可能性は否定できない。そのため、実態経済の動きに十分注意を払うとともに、実態経済の変化に迅速に対応した研究成果が導出できるよう、海外の研究者等とも密接に情報交換を行って、研究を進める。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Asset Bubbles and Bailout
Author(s)
柳川範之
Organizer
2012 AFR Summer Institute of Economics and Finance
Place of Presentation
Zhejiang Narada Grand Hotel,Shuguang Road 122#, Hangzhou, China201(中国)
Invited
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