2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330064
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
林 正義 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (70318666)
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Keywords | 生活保護 / 地方分権 / 福祉事務所 / 国庫補助 / 国庫負担 / 地方交付税 / 地方財政 / 社会保障 |
Research Abstract |
平成20年度は国の補助が地方の生活保護率に与える効果を検討した.平成20度以前にも当該効果の検証は試みていたが,ここでは今回の科学研究費補助金で購入した以前は利用できなかったデータを用い,また,以前では十分活用できていなかった分析方法を用いて緻密な推定を行った.具体的には、1985年に生活保護の国庫負担が削減されたこと,ならびに、地方交付税が生活保護の地方負担分を財源保障していることを利用して,国の補助の効果を平均処置効果として推定した.その結果,国からの補助金は地方の保護率に影響を与えることが無く,補助金という財政的な要因よりも法令・制度や中央統制といった行政的な要因が重要であることが示唆された. この研究成果は,別記(11)のように既に幾つかの学会や研究会で発表し,そこからのフィードバックを反映させる形で,最終稿“Identifying the Effect of a Central Grants Program on Local Government Behavior: A Case of Public Assistance in Japan"としてまとめている.さらに同論文は21年度の日本経済学会(6月)やドイツでの国際カンファレンス(9月)で発表を予定している. なお20年度の調査では,地方が行う生活保護に対する国の補助に関する制度を精査し,データを用いてその実態を調査する必要があった.その過程で得られた研究成果も,2つの論文“Public Assistance and Local Government in Japan: Issues and Prospects"および「生活保護と財源保障」としてまとめた.前者は20年度の日本財政学会(10月)で,後者は一橋大学で開催されたカンファレンス(平成21年2月)で発表された.後者の論文はさらに検討を加えて,21年度の地方財政学会で発表する予定である.
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Research Products
(6 results)