2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330067
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
晝間 文彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00063793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須斉 正幸 長崎大学, 経済学部, 教授 (40206454)
筒井 義郎 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50163845)
池田 新介 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70184421)
高橋 泰城 北海道大学, 文学研究科・社会科学実験研究センター, 准教授 (60374170)
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Keywords | 自制力 / 時間割引率 / 準双曲割引 / 神経経済学 / 大脳基底核 / 背外側前頭前野 / 認知的制御 / 解釈レベル理論 |
Research Abstract |
時間割引率に関する神経経済学の最近の研究では、従来の準双曲割引的理解から離れて、異時点聞報酬全般の評価は大脳基底核でなされ、背外側前頭前野は、他の目標に応じて、その評価に介入して、自制的な行動を誘導、すなわち認知的制御をしているとする研究が現れていることを確認した。 2010年度に行った3つのweb調査データを用いて、パーソナリティや自制心や認知能力が、時間割引率とどのような関係にあるかを統計的に検証した。パーソナリティ検査にはBig5という質問を、自制心には社会的場面での自制を調べる社会的自己制御(SSR)およびやるべきことをやるといったエフォットフル・コントロール(EC)という質問項目を用いた。認知反射テストと呼ばれる認知能力テストも取り入れた。結果よ以下の通りである。 (1)双曲割引効果、期間効果が有意に観察された。 (2)認知反射能力は時間割引率と有意に負の相関があった。 (3)Big5では、協調性で負で有意、知的好奇心で正で有意であったが、解釈は困難である。 (4)SSRおよびECでは、自制力は時間割引率と有意に負の相関があった。 認知反射能力、自制力と時間割引率との負の相関は神経経済学における認知的制御メカニズムの存在に関する最近の研究を支持し、認知能力と自制力に対する教育の可能性を示唆するものである。 さらにTangney et al.(2004)の総合的な自制力テスト(SC)とVallacher&Wegner(1989)の行動解釈レベルテスト(BIF)を含むweb調査を行って時間割引率との関係を調べた。 SCでは時間割引率と負の有意な関係が観察された。行動の解釈と時間割引率との相関を調べるBIFでは有意な関係は見いだせなかった。したがって、解釈レベル理論に基づく政策的提言を得ることはできなかった。
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