2008 Fiscal Year Annual Research Report
リスク許容度と金融リテラシーが金融システムの産業組織に与える影響:理論と実験
Project/Area Number |
20330069
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
井澤 裕司 Ritsumeikan University, 経済学部, 教授 (70222924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
森 伸宏 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (40190996)
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Keywords | リスク選好 / 金融リテラシー / 実験経済学 / 産業組織論 |
Research Abstract |
□研究の目的: 投資家のリスク許容度や金融リテラシーの程度が個人投資家の金融行動に与える影響を理論的,行動科学的に明らかにする.同時に,投資家のリスク許容度やリテラシーの程度が金融システムの産業組織とその市場の成果にどのような影響を与えるのかを理論的に分析し,実験経済学的アプローチによって検証する.また,本研究によって得られた実験経済学的手法の金融リテール業務への応用することを検討する. □当該年度の研究の具体的内容: 1.経済主体のリスク選好と投資行動の関係を明らかにする実験の設計を行うとともに,期待効用理論,および投資行動におけるherdingの発生を確認する予備的実験を実施した.具体的には,期待効用最適化定理を忠実に再現する経済実験を試験的に実施した.また仮想金融市場における情報の伝播とHerding発生を検証する予備実験を実施した. 2.リスク選好度の計測実験システムの改善を行い,Webベースでのくじ売買実験(BDM法による効用関数の計測)の実用性を検討した.特に従来は,被験者が期待効用仮説を満たさないときにはBDM法は理論的には有効ではないとされていたが,期待効用仮説を満たす被験者と満たさない被験者との間に有意な差はないことを実験的に示した. 3.産業組織分析やゲーム理論の研究蓄積を踏まえ,文献の整理を行うとともに,行動科学的知見を踏まえた金融行動モデルの政策的含意について分析した.また消費者金融を導入した一般均衡型の理論モデルの開発し,消費者金融市場の長期的均衡条件を理論的に明らかにした. 4.消費者金融における顧客のリテラシーやリスク選好度が金融仲介業に与える影響について理論研究を開始した.
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