2010 Fiscal Year Annual Research Report
コールセンターにおける雇用と人材育成に関する調査研究
Project/Area Number |
20330078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仁田 道夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70114600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 圭介 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30227889)
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Keywords | コールセンター / 雇用 / 人材育成 / 格差 / 就業形態多様化 / 従業員アンケート調査 / キャリア形成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、コールセンターにおける雇用と人材育成の実態を、従業員に対するアンケート調査を用いて明らかにすることである。 本年度においては、引き続き特定のコールセンターの協力を得て、当該センター従業員の調査を実施するとともに、職種を特定した大規模モニター調査(ネット調査)を実施することに活動の重点を置いた。その結果、事業所ルートでの調査によって、3事業所合計595人からの回答を得、ネット調査によって478人からの回答を得た。合計すると、1073人となり、調査対象を特定することが困難なこの種調査では、それなりの成果を挙げることができた。また、ネット調査の特性を活かして、現在コールセンターで働いていないが、過去に働いた経験のある対象者を特定し、コールセンター経験者調査を実施した。この結果、1123人の経験者から回答を得ることができた。これは、コールセンター経験者のキャリアを理解する上で、貴重なデータとなる。 ネット調査結果によると、現在コールセンターで働いているオペレータのうち、今後も現在の職場で働き続けようと考えている人は32.0%にとどまり、54.0%の人がいずれは転職しようと考えていること、そして、14.0%の人は近々に転職しようと考えていることが明らかとなっている。もっとも、流動性の高さは、この業界の特徴であり、必ずしも全て否定的にとらえるべきではない。コールセンターに勤務を続けて、社内で昇進・昇格していく機会は必ずしも大きくないからである。重要な論点の一つは、コールセンター勤務経験がその後のキャリアに生かされるかどうかである。経験者調査によると、73.9%の人がコールセンター勤務経験は現在の仕事に役立っていると回答している。対人折衝能力やコミュニケーション能力向上効果が認められる。
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