2008 Fiscal Year Annual Research Report
デザイナーの構想力を生かしたビジネスデスバレー克服方法研究
Project/Area Number |
20330082
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤戸 幹雄 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (90335315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原林 桂一郎 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (20387525)
森永 泰史 北海学園大学, 経営学部, 准教授 (10405649)
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Keywords | デザイナー構想力 / ビジネスデスバレー |
Research Abstract |
本年度は先行研究のレビューを主に行った。 調査に向かう前に以下の三点((1)そもそもデスバレーとはどのような現象なのか、(2)どうなればデスバレーを克服できたと判断していいのか、(3)どのようなマネジメントをすれば、それを克服できると考えられてきたのか)を明らかにしておく必要があるためである。 レビューの概略は以下の事が言える。 (1) デスバレーの種類は多様が大きく2つに分けられる。1つは、「技術はすでにあるものの、それをどう使えばいいのかが分からない」という問題を扱っているのに対し、2つは「そもそも、どんな技術を開発すべきかが分からない」という問題を取り扱っている点で、違いがある。また、先行研究からは、業界によっても、デスバレーの捉え方が異なっていることが窺えた。 (2) 「既存研究では、どうなればデスバレーを克服できたと判断してきたのか」については、判断基準には定性的な指標(ex.インタビューイの主観による判断)と、定量的な指標(ex.営業利益/研究開発)があるということである。なお、いずれの判断指標を採用するのかで、分析単位も異なることが窺えた。 (3) 「先行研究では、どのようなマネジメントをすれば、それを克服できると考えられてきたのか」について、先行研究で共通しているのは、デスバレーを越えるには「ビジョン」が重要になるということが明らかになってきた。 現在は、レビューを通じてデスバレーの種類の整理を行い、その地図(マップ)を作成すると同時に、デザイナーが絡んだデスバレーの超克事例(そう窺えるもの)を収集し、その地図上にプロットしている段階にある。現時点で集まった事例は、ソニー放送局用ENGカメラの開発事例、東芝の電球型蛍光灯の開発事例、シャープのビューカムの開発事例などである。このような作業は様々な種類のデスバレーのうち、どの領域にデザイナーが絡んだ成功事例が多くみられるのかを明らかにすること(つまり、研究目的(3)の解明)を目的としている。 2009年度以降行う作業としては、次の二つを中心に行いたい。一つは、「調査対象の絞り込み」であり、もう一つは、メカニズム解明のためのケースの深堀りである。以上の絞り込みをしていく予定である。
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