2009 Fiscal Year Annual Research Report
デザイナーの構想力を生かしたビジネスデスバレー克服方法研究
Project/Area Number |
20330082
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤戸 幹雄 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (90335315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原林 桂一郎 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (20387525)
森永 泰史 北海学園大学, 経営学部, 准教授 (10405649)
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Keywords | デザイナーの構想力 / ビジネスデスバレー / マネジメントスタイル |
Research Abstract |
既存のデスバレー研究では、「研究サイドにビジネス知識を持たせると同時に、事業部サイドにも高度な技術知識と市場翻訳能力を持たせることが、技術統合・移転の際に重要になる」旨を明らかにしてきたが、どうすればそれらの知識や能力を身につけることが出来るのかまでは明らかにしてこなかった。そこで、本研究では、既存研究がこれまで注目してきた、開発プロジェクトのリーダーが掲げるビジョンやエンジニアが持つビジネス知識そのものではなく、それらのビジョンや知識に影響を与える要因やメカニズムについて注目し、研究・開発中の新しい技術やビジネスのアイデアについての相互理解を促進し、デスバレーを克服するための新たな方法(説明変数)として、デザイナーの活用方法について研究する。社内における研究と事業をデザイナーの構想力によって結びつけるための取組みに注目したい。同じ組織内の活動でありながら効果的な融合が難しい複数の要素を、デザイナーの構想力というフィルターを通すことで、実行力のある提案として活用していくためのマネジメントについて研究する。 一般に、デスバレー(死の谷)とは、「研究開発プロセスの上流と下流の間において、その流れを断ち切るボトルネックあるいは断絶点」のことをいう(榊原,2005)。ただ、日本企業にフォーカスした場合、特に問題視されているデスバレーとは、「研究も開発も結構きちんとやっているのに、収益性の高い製品や事業が生まれない」(藤本,2003)ことである。つまり、言い換えれば、研究開発に基づいて構築された技術力が必ずしもその企業の経営成果に結びついていないことが問題視されているのである。例えば、東芝はiPodに似たプレーヤーやグーグルのような検索エンジンを米国勢が席巻する前に商品化したが、使い勝手の問題から主導権を握ることが出来なかった(日本経済新聞2007年9月30日)。このように日本企業の多くは、先端部品で先頭を走りながら、世界の消費者に受け入れられる最終製品が生み出せていない。そこで、本研究では、それを克服するための一つの手立てとして、デザイナーの構想力の活用に注目する。
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