2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおけるダイバーシティ・マネジメント:イスラーム、儒教、仏教を基盤として
Project/Area Number |
20330086
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
櫻井 秀子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (60203345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高久保 豊 日本大学, 商学部, 教授 (20246804)
潜道 文子 拓殖大学, 商学部, 教授 (60277754)
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20325559)
木村 有里 杏林大学, 総合政策学部, 准教授 (40381652)
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Keywords | アジア経営 / イスラーム経営 / 儒法経営 / 知足経営 / 社会的企業 / 贈与 / 経営倫理 / パートナーシップ |
Research Abstract |
本研究は、アジアにおける関係重視型ダイバーシティ・マネジメントの実態を、理論と現場調査の両面から実証的に研究することを主な目的とするが、最終年度を迎え、イスラーム経営においては、「関係」が主観的な馴れ合いに陥ることを防ぐ一環として、イスラーム法が機能している点に焦点を当て検討し、西欧近代的なコンプライアンスとは異なる点を指摘するとともに、イスラーム法が規定する企業概念そのものや、社会的企業の発展形態にも相違がある点を明らかにした。儒法経営については、儒仏道三教の相互浸透を基盤とする中国思想が中国企業の実践において意識的あるいは無意識的な形で影響を及ぼし、近未来の「経営規範」にも組み入れられようとしている状況を考察した。知足経営についてはタイを中心に研究を続け、タイ人経営者の経営意識に関する調査では、企業の「成長」および「発展」という概念の中に、(1)人的な成長、(2)富の配分、(3)国やコミュニティーへの貢献といった内容が含まれることが明らかとなった。共同体志向的であり、社会と企業が互酬的な関係にある、これらの経営の三形態を比較していく中で、それぞれの社会的企業としての側面が浮き彫りになった。また地域・宗教を超えて共通の社会的企業のモデルを構築するために、まず、日本の社会的企業の特徴を分析するためにアンケート調査を実施した。さらに、喜捨行為が企業や経営者個人の経営理念や経営実践に反映されているかを明らかにするための社会調査実施アンケートを作成した。 本研究では、関係重視型マネジメントをアジア地域に共通のスタイルとして仮定し研究を進めてきたが、宗教、哲学、思想の分野として扱われてきたイスラームや、儒教、仏教が、経営という社会科学的な領域に大きく作用している点を示し、その経営スタイルを支えているのが財の独占ではなく共有の意識にあることを導いた。
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Research Products
(10 results)