2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330101
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
倉田 良樹 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (60161741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 史子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 准教授 (40386652)
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Keywords | 韓国人IT技術者 / フィリピン人エンターティナー / 外国人技能実習生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、業務請負等の様々な形態による間接雇用慣行を存立させている現代日本の社会構造を解明することである。本年度(平成22年度)は、外国人労働力が日本の間接雇用型労働市場に参入、定着する局面において、上記の社会構造がどのように作動しているかを解明することを試みた。業務請負型間接雇用で働く労働者に占める外国人の比率は、90年代以後増大する傾向にあり、一部では日本人労働者との代替も生じている。このような状況において、上記の研究課題は、業務請負型間接雇用の今後を考える上でも、また日本の外国労働者雇用の将来的な課題を明らかにする上でも、重要な意義を有すると考えた。 実証的な研究としては、以下の3つの実態調査を実施した。 (1)日本で就労する韓国人IT技術者について、労働者と日本企業のマッチングがどのように行われているのかを韓国側と日本側の双方を対象として調査した。その結果、韓国人技術者が、日本のIT業界に固有の労働力需給調整の様々な慣行にフィットする形で、日本に参入、定着している姿を把握することができた。一部の外国人IT技術者についてしばしば指摘されているような、重層的な下請け構造における下層の低賃金ジョブへの滞留という現象は、韓国人IT技術者の場合、起こっていないことが明らかになった。 (2)遊興飲食業におけるフィリピン人エンターテイナーの就労に関連する労働プローカーの機能に関して、興行ヴィザに関する規制が厳しくなった2000年代後半以後の動向をフォローした。歴史的な経路に規定されて残存している搾取的構造を明らかにするとともに、間接雇用から脱却して行く経路に関する様々な可能性を見出すこともできた。 (3)製造業で働く外国人技能実習生の入職経路に関して、日本側の一次受け入れ団体を中心とした実態調査を行った。ケース数は充分とは言えないが、既存の業務請負業者との連続性は認められなかった。
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Research Products
(8 results)