2009 Fiscal Year Annual Research Report
移住者による民族関係の再形成に関する比較社会学的研究-韓国系移住者を事例に-
Project/Area Number |
20330117
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
魯 富子 Tenri University, 国際文化学部, 准教授 (30303572)
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Keywords | エスニック関係 / 華人コミュニティ / 中国朝鮮族 / Middleman Theory |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、ニューヨーク市のコリアンタウンにおける中国朝鮮族との民族形成の実態を明確にすることである。民族関係の実態を知るために、理論的背景として、コリアン移民の定着に関わる「Middleman Theory」を用いて、白人社会と黒人や他のアジア系移民集団との民族関係の中で、どのようなエスニック関係を形成するのかを実態と関わらせて考察することを試みた。 その結果、ニューヨーク市のコリアンタウンに展開されるコリアンコミュニティと華人コミュニティの関係形成において「中国朝鮮族」が重要な意味をもっていることがわかった。中国朝鮮族は、中国語と韓国語ができるという言語的利点を生かして、生活は華人コミュニティ、仕事はコリアンコミュニティという媒介的な役割を担っている。いままでは、生活空間としての場所を共有するだけで、質的な関係が少なかった華人とコリアンは中国朝鮮族という存在を通じて、両方のコミュニティの実態を知ることになった。また、中国朝鮮族は米国へ定着するために、両方のエスニック・コミュニティを目的によって撰択して、独自の移民社会を形成しているのである。中国朝鮮族はコリアンコミュニティには民族的な同質性を強調し、一方の華人コミュニティには国籍という同質性を強調しているのである。こうした中国朝鮮族の存在もあり、一方では、ニューヨーク市のコリアンタウンの地域政治における華人出身の市議員をコリアン移民が支援するという新たな政治的な動きも現れつつある。ニューヨーク市のコリアンタウンにみられるエスニック関係は、今後、外国人住民の増加が予想される日本社会においても共生社会形成への先験的な研究としてその意義があると思われる。
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