2010 Fiscal Year Annual Research Report
暴力シーンに関する内容分析と縦断調査に基づくメディア教育プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
20330132
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
坂元 章 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (00205759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 ますみ お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (20211302)
鈴木 佳苗 筑波大学, 大学院・図書館情報メディア研究科, 准教授 (60334570)
長谷川 真里 横浜市立大学, 国際総合科学部, 准教授 (10376973)
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Keywords | テレビ / テレビゲーム / 暴力描写 / 教育プログラム / 保護者の介入行動 / 被害描写 |
Research Abstract |
本年度は、学校や家庭での教育を通して、青少年のテレビやテレビゲームの暴力描写等の文脈的特徴を読み取る能力を高めるための教育プログラムを作成し、その効果を検討することを目的とした。 テレビについては、テレビの内容分析研究を前年度から引き続き行い、その結果に基づいて教育プログラムに使用する映像の抽出を行った。映像は、生徒の共感性や暴力に対する規範意識の向上と攻撃性の抑制に効果があると予想される被害描写が含まれるドラマ番組の映像を抽出した。教育プログラムの効果を検証する準実験では、中学生を対象として被害描写の特徴を学ぶ授業を行い、生徒の共感性、規範意識、攻撃性への影響を測定した。実験計画は、「映像解説+映像分析」、「映像解説のみ」、「映像視聴のみ」の授業3条件、1要因被験者間計画で実施した。その結果、授業の前後での共感性の伸びに傾向差が見られ、映像解説と映像分析の両方を実施した条件の共感性の伸びが最も大きかった。被害映像を生徒が分析することで理解が進み、共感性に良い影響を与えたと考えられる。 テレビゲームについては、子どものゲーム利用に対する保護者の介入方法の実態についての基礎情報を収集するため3歳から高校3年生の保護者を対象にウェブ調査を実施した。調査の結果、ゲームの利用時間を制限する介入を行っている場合が多く、テレビゲームに含まれる反社会的な内容に子どもが接触することは望ましくないと考えていることが示された。しかしその一方で、反社会的な内容の接触を抑えるため内容をチェックして制限する、暴力的内容について注意を促すなどの直接的な介入をとっている場合は少なく、暴力描写の文脈的特徴を読み取る機会が家庭では得られにくいことが示された。このことから、テレビと同様、テレビゲームの暴力描写の文脈的特徴の理解に特化した教育プログラムも今後開発していくことが必要であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)