2009 Fiscal Year Annual Research Report
アイデンティティ構築メカニズムの解明-時間的展望の視点による縦断研究-
Project/Area Number |
20330137
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
白井 利明 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (00171033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 博明 名城大学, 人間学部, 教授 (80168799)
中村 知靖 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (30251614)
勝眞 久美子 奈良産業大学, キャリア開発センター, 講師 (80413475)
徳田 治子 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (40413596)
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Keywords | アイデンティティ / 時間的展望 / 成人期 / 縦断研究 / ナラティブ / 青年期 / キャリア発達 / 質的分析 |
Research Abstract |
今年度は,第1に,縦断調査の対象者320名に対して,質問調査を実施した。データを入力した。分析は次年度に行う。第2に,過去の17年間におよぶ質問紙調査のデータを潜在曲線モデルで分析した。具体的には,時間的指向性を説明変数とし,アイデンティティの3つの側面,現在の自己投入,過去の危機,将来の自己投入の希求の発達的変化を潜在成長曲線モデルでとらえた。その結果,現在の自己投入の年齢に伴う値の増加については24歳と30歳の時間的指向性が影響を与えていること,過去の危機の年齢に伴う値の減少ついては21歳の時間的指向性が影響を与えていること,将来の自己投入の希求については30歳の時間的指向性が影響を与えていることが明らかとなった。その成果は日本心理学会及びアイデンティティ形成学会で発表された。面接調査結果との結合は次年度に行う。第3に,ナラティブ・アプローチによるケース研究を行った。その結果,現在の心的状態には揺らぎがあり,それが過去・現在・未来の視点のダイナミックな往復運動を生むこと,過去の出来事の意味づけは,過去の出来事以降の経過を受け入れて連続性を作りだす方向に変化すること,近い未来は,実際には選択の過程というより,覚悟や決意という形で未定の未来に向かう過程であること,遠い未来の展望は大きく変化することがなく,人生を方向づけていることが示された。その成果は日本発達心理学会で発表された。面接調査による確認は次年度に行う。
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Research Products
(4 results)