2010 Fiscal Year Annual Research Report
教師による「教育的瞬間」の把握・判断に関わる心理的メカニズム
Project/Area Number |
20330138
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鹿毛 雅治 慶應義塾大学, 教職課程センター, 教授 (80245620)
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Keywords | 教師の授業力 / 評価的思考 / 教師の談話 |
Research Abstract |
本年度は、理論構築を一層推進するとともに、昨年度までに実施したデータの収集および分析をさらに発展させた追加データの収集と分析を行った。具体的には、(1)理論的検討、(2)追加データ収集と分析、(3)情報収集・研究交流を実施した。 (1)の「理論的検討」に関しては、「教育的瞬間」の把握・判断を規定する教師の心理的変数として想定される(1)知識、(2)信念、(3)興味、(4)着眼のそれぞれについて、評価的思考(把握、判断、活用)のモデル(鹿毛,2005)に位置づけ、特にその専門性を校内授業研究会の談話の質に関連させた理論を構築した。 (2)の「追加データ収集と分析」に関しては、ターゲットとして扱う公立小学校の教師へのインタビュー調査および質問紙調査を実施した。また、教師による校内授業研究会の談話を分析するための枠組みについて検討し、教師が、誰に焦点化し、何を話題にしているかといった話題の内容や対象、表現の精度(詳細さ、具体性)などを特定しうるカテゴリーを開発するとともに、試行的なカテゴリー分析を実施し、カテゴリーの分類基準等を調整した。 (3)の「情報収集・研究交流」については、動機づけ心理学会(自己決定理論研究会)及びヨーロッパ教授学習心理学会に参加し、国際的な見地から得た最新の教師研究の知見を理論化に活用した。 以上を総括すると、本年度の研究成果は、主に、校内授業研究での談話の質を教師の専門性の指標として理論的に位置づけ、その具体的な分析カテゴリーを開発した点に見出すことができる。次年度以降、教師の談話の質と「教育的瞬間」の把握、判断の関連を実証的に裏付けていくことが課題となった。
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Research Products
(2 results)