2011 Fiscal Year Annual Research Report
教師による「教育的瞬間」の把握・判断に関わる心理的メカニズム
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20330138
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鹿毛 雅治 慶應義塾大学, 教職課程センター, 教授 (80245620)
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Keywords | 教師の授業力 / 評価的思考 / 教師の談話 |
Research Abstract |
本研究の研究テーマは、暗黙知に支えられた教師の高度な専門性の顕れである「教師の出」、すなわち、教師による授業中の即興的な教育的介入の様相とその背景要因について検討し、理論化することであるが、本年度は、教師による授業中の即時的な状況把握と教育的判断を支える要因を検討するため、昨年度までのデータ収集に基づき、小学校における校内授業検討会での当該授業者や参観者の談話についてカテゴリー分析を行った。その結果、教師たちの授業に関する談話は、(1)当事者性次元(授業の当事者である当該授業者または学習者に言及しているかどうか)、(2)教師-子ども(教師の教授、子どもの学習のいずれに言及しているか)という二つのカテゴリーによって把握可能であること、また、(2)の「子どもの学習」については、さらに(3)エピソード次元(エピソードが含まれているか)、(4)再現性次元(場面を活き活きと表現しているか)、(5)ストーリー性次元(単一授業時間中の学習者の学習や変化に言及しているか)の3つの追加カテゴリーによって把握可能であることが明らかになった。このカテゴリー分析によって、談話の質を教師の専門性の指標として位置づけ、さらにそれと他の変数(質問紙など)との対応関係を検討することが可能になった。 また、本年度はこのような「質の高い語り」を促すような検討会の特徴を理論的、実証的に分析した。その結果、(1)当該授業者を中核に据えた談話の展開によって授業者の語りが促される、(2)そのことを通して授業構想の背景情報が可視化され当該授業をめぐる議論が活性化される、(3)当該授業の理解が深まることを通じて、授業、教師の役割、子どもの学習、教材研究のあり方等の認識が促進されるという教師の学習の深化プロセスが観察された。以上は教師の専門的な成長に関する理論化と校内授業研究のモデル化に向けた重要な知見として位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集がほぼ完了し、実証的な分析と考察の段階にある。また、理論化についても文献研究等が順調に進み、理論構築が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度には、質問紙調査、インタビュー調査の結果の分析を中心に行い、今年度までの分析と統合する。また、理論モデルを踏まえて総合的に考察し、授業研修のモデルを提案する。
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Research Products
(3 results)