Research Abstract |
(1)離乳の全国調査結果を集計し,過去の全国調査の結果と比較した。母乳期間の長期化やそれに対する保険センターの指導の影響などが明らかになった。 (2)「携帯電話の通信機能を活用した食行動測定システム」を活用し,親の食意識調査と平行して親(ならびに家庭)の食行動,食卓状況の測定を試み,子の食嗜好,食行動の決定因としての,母の役割の重要性を指摘する結果が得られた。さらに,子と母の食の両者に影響を与える食環境について,フードシステムの発展・現状を分析した。 (3)離乳等の世代差や世代間伝達の実態について,沖縄において母親世代と祖母世代にインタビュー調査を行った。離乳の情報源としてインターネットなどの重要性が増加し,祖母のアドバイスに対する葛藤が示唆されたがその傾向は2世代とも沖縄出身者により小さかった。 (4)新生時期から生後6ヶ月までの乳児2名の授乳時の母子の相互作用を観察した。その結果,母子の間に葛藤が生じるのは,1,2ヶ月の乳児では眠りながら飲むことが多くその状況において母親は授乳をやめようとするとき,3ヶ月以降は,乳児が遊びのみをしたり指しゃぶりをしたりするときに母親が飲ませようとするときであり,いずれの時期においても母子それぞれの駆け引きを行いながら調整されていくことが示された。また離乳食開始から1年間,計15~16回の観察を母子3組について行い,離乳食を食べる-食べさせるというやりとりが,母子の間でいかに組織化されていくかを分析した。 (5)保育園に通う幼児を対象としたインタビュー調査,保護者に対する質問紙調査を実施した。個人差はあるものの,幼児は保育園で経験した食に関わる活動(作物栽培活動や給食,おやつ)を,他の活動(遊びなど)より頻繁に家の人に話すこと,子どもがよく話をする家庭の親ほど,保育園の食経験を好意的にとらえていることなどが明らかになった。
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