2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330148
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大平 英樹 Nagoya University, 大学院・環境学研究科, 教授 (90221837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯高 哲也 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70324366)
野村 理朗 広島大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60399011)
磯和 勅子 三重大学, 医学部, 准教授 (30336713)
野村 収作 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 特任准教授 (80362911)
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Keywords | 実験系心理学 / 意思決定 / 感情 / 脳 |
Research Abstract |
平成20年度に行った意思決定と脳・身体の機能的関連についての研究における知見(意思決定に前頭前野と背側線条体が関与し,それらの脳領域が感情を反映する身体反応の起動・調整にも関与していること。また,そうした感情的な脳・身体反応の個人差にセロトニン・トランスポーター(5HTT)遺伝子多型が影響していること,など)を論文として公刊した(下記,研究発表の欄を参照)。 本年度はそれらの知見を発展させ、行動と結果(報酬・罰)の随伴性の逆転(確率的逆転学習)状況における意思決定に伴う脳と身体の機能的関連について検討することを目的として研究を行った。また、そうした事態に対する適応能力の個人差の原因を解明するため、逆転学習事態における5HTTの遺伝子多型の影響について検討した。確率的逆転学習は、報酬をもたらす環境構造に不確実性があり、しかもその構造が変動的である事態をよくシミュレートする課題として知られている。 その結果,随伴性の逆転に伴い,前頭前野(特に内側前頭眼窩野,背内側前頭前野)と背側線条体が頑健に賦活すること,それらの脳部位の賦活強度が逆転学習の成績を規定することが明らかになった。また,それらの脳部位活動は,逆転学習時における身体反応の調整にも関与していることが示された。さらに,5HTT遺伝子プヒモーター部の塩基繰り返し構造が短いアリルをホモで持つ個人は,そうした場面で感情性が高く,罰に敏感で過剰な反応切り替えを行う結果,報酬獲得成績が悪いことが示された。 これらの研究結果より,本研究の目的である意思決定を支える脳と身体の機能的関連の解明に向けて,基礎的知見が得られた。
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Research Products
(24 results)