2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザルとゴリラの生涯発達に関する縦断的な行動研究
Project/Area Number |
20330151
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中道 正之 Osaka University, 人間科学研究科, 教授 (60183886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 一憲 大阪大学, 人間科学研究科, 特任研究員 (80506999)
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Keywords | ニホンザル / ゴリラ / 生涯発達 / 毛づくろい / 展示動物 / 長期継続研究 |
Research Abstract |
勝山ニホンザル集団(岡山県真庭市)においては、全てのメス(約70頭)を対象とした毛づくろいのデータをのべ約3000にわたり記録し、母とおとなの娘の間でも、娘の加齢に伴って、母との毛づくろい関係が減衰してくるペア、あるいは姉妹間においても、毛づくろいがなくなってくるペアが記録できた。他方、非血縁メス間においても、長期にわたって毛づくろいが継続するペアがあることも分かった。とりわけ、10数年間にわたり毛づくろいが続いているペアが記録できた。さらに、親しい個体が死亡したときに、新しいパートナーをどのように選択するのかにっいても事例を集めることができた。また、おとなになっても集団から離脱しないオスは、その母ザルとの間に、少ないながらも毛づくろいが時折生じることが確認できた。 ゴリラにおいては、サンディエゴ野生動物園(アメリカカリフォルニア州)で暮らす6頭の個体について、本年度の資料を合わせて10年以上にわたりその親和関係を記録することができた。ニホンザルほどの頻繁な親和行動はないが、近接を指標とすると、長期のパートナーが存在することが明らかになってきた。また、おとなオスで集団のリーダーであるシルバーバックとメスの関係も、この10年間にわたり、安定していることを定量的に示すことができた。このように、一頭一頭についての「生涯発達」を「行動」で定量的に描き出すことの基礎資料を、本年度においても蓄積することができた。
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