2008 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期からの母子コミユニケーシヨン-胎内聴覚経験とクロスモダル知覚の比較発達研究
Project/Area Number |
20330154
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
竹下 秀子 The University of Shiga Prefecture, 人間文化学部, 教授 (90179630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明和 政子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00372839)
平田 聡 林原生物化学研究所, 類人猿研究センター, 主任研究員 (80396225)
|
Keywords | 実験系心理学 / 胎児 / 聴覚 / クロスモダル / 母親 |
Research Abstract |
視覚の未だ十分に機能しない出生まで、胎児にとって「聴くこと」が、胎外からの情報を取得するうえでもっとも重要な活動となる。本研究では、胎児期の聴覚経験と出生後のクロスモダル知覚との関連を検討する。本年度は、第一段階として、胎児の身体運動や表情を、4次元超音波画像診断装置(4Dエコー)を用いて観察し、妊娠中期20週以降を対象として、母親声と他人声を聞かせて各音声刺激に対する行動的反応(口の開閉)と心拍を測定した。現往、資料収集を継続中である。また種比較資料の収集のため、チンパンジーについても、妊婦3個体の胎児の発達を、4次元超音波画像診断装置(4Dエコー)を用いて観察した。1個体では胎齢22週から、もう1個体では胎齢9週から、最後の1個体では胎齢4週から4Dエコーを用いた観察を開始した。これによって得られた結果をヒトの胎児の知見と比較した。その結果、身体成長に関しては、受精後16週齢頃までチンパン.ジーとヒトの成長速度はほぼ同じであり、その後徐々に差が生じてチンパンジー胎児の方が相対的に小さくなった。運動に関しては、チンパンジー胎児においても、口を開閉する、手を口に入れる、手や足で別の手や足を握る、手指を細かく動かすなどの行動が見られ、こうした行動の初出時期はヒトの胎児とほぼ同じだった。ただし、妊娠後期になるとチンパンジー妊婦の羊水量はヒトに比べて相対的にかなり少ない状態となり、胎内の空間が限られて、胎児の運動は物理的に制限されていた。この点において、妊娠後期でも比較的広い胎内空間で運動することのできるヒト胎児と異なることが明らかになった。以上のことは、両種で、妊娠後期における聴覚一運動活動の発達の質的差異の生じる可能性を示唆している。
|
Research Products
(5 results)