2011 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期からの母子コミユニケーシヨン-胎内聴覚経験とクロスモダル知覚の比較発達研究
Project/Area Number |
20330154
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
竹下 秀子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (90179630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明和 政子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00372839)
平田 聡 京都大学, 霊長類研究所, 特任准教授 (80396225)
|
Keywords | 実験系心理学 / 胎児 / 母親 / 聴覚 / 絵本 / クロスもダル / 脳容積 |
Research Abstract |
本研究では、胎児-新生児期の視聴覚世界の研究に比較認知発達研究の視点と方法を導入し、主として以下の4点を明らかにすることを目的とした。1)胎児は母親の声をそれ以外の声や音と識別することかわかっているが、声によって表現される母親の感情も識別することができるか。2)母親の声の識別は、胎外から届く声のうち母親の声の頻度が圧倒的に多いことが原因と考えられるが、母親以外の他者(父親や祖母)の声が頻繁に聞こえる日常生活があれば、これらの声の識別も生じるか。3)胎児期に識別の生じた対象には出生後に聴覚-視覚のクロスモダル知覚が生じるか。4)以上で明らかになる胎児-新生児期の視聴覚特性の発達は、ヒトにもっとも近縁なチンパンジーとどのように共通し、どのように異なるか。本年度は、3)について、人間の胎児期の母親による絵本朗読経験の有無が出生後のクロスモダル知覚に影響を与えるかを調べる課題を継続した。胎内で継続聴取した母親の音声が母親自身の映像/他人女性の映像、音声と感情的に対応する表情映像/対応しない表情映像などと対提示したとき、それぞれの映像を音声なしで提示したとき、音声を映像なしで提示したとき、音声や映像が途中で他の音声や映像に変化したとき、などのさまざまなモードで反応に違いが見られるかを、実験群と対照群で比較し、口開けやnon-nutritive suckingの口唇運動、全身運動、刺激への注視の多寡などを分析するための資料収集を継続中である。また本年度は、本研究が比較対象としたチンパンジー3個体の胎児期における脳容積を3Dデータから算出し、その増加曲線を人間の場合と比較した。1)脳容積は胎齢16週ですでに人間がチンハンジーの2倍近くあり、2)拡大速度は人間では胎齢30週以後も増加するのに対し、チンパンジーでは胎齢22週ごろに減速に転じることなど、両者の差異について重要な結果が得られた。
|
Research Products
(4 results)