2010 Fiscal Year Annual Research Report
作業記憶関連ニューロンのバイオフィードバックによる随意的制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
20330155
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
坂上 雅道 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (10225782)
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Keywords | ニホンザル / 前頭前野 / 単一ニューロン活動 / バイオフィードバック / BMI / 認知 |
Research Abstract |
これまでのBMIは運動や知覚を補完するものが主であった。しかし、運動情報処理の制限を受けず、意志や意図を脳活動から読み取ってBMIに応用する、いわゆる認知型BMIは未来のBMIとして期待されている。しかし、特定の脳領域の集合的脳活動を記録する脳波やf MRIを使う現在のBMI研究では、その基礎課程の研究も難しいのが現状であった。我々は、遅延課題遂行中のサルからニューロン活動の記録を行うことにより、脳の中で意志や意図がどのようにコードされているかを明らかにするとともに、遅延課題遂行中のサル前頭前野ニューロンの活動を被験体に視覚的にフィードバックすることにより、サルが自らのニューロン活動を課題の要請に従い制御することができることを示した。実験では、ニホンザルに、遅延型視覚刺激観察課題、および遅延見本合わせ課題を訓練し、その課題遂行中のサル前頭前野外側部から単一ニューロン活動を記録した。フィードバックフェーズでは、遅延期間中のニューロン活動をサルに視覚的にフィードバックするが、この活動の強さにより、報酬の量を変化させたり、遅延期間を変化させたりした。たとえば、前頭前野外側部の1個の細胞の活動をコンピュータにつなぎ、その活動量に応じてサルの前にあるコンピュータモニターに呈示されるバーが伸びるようにした。一定の長さまで伸ばすことができれば(逆に伸ばさないようにすれば)報酬を与えるようにすると、サルは自分の前頭前野ニューロンの活動を上昇させる(下げる)ことができた。これらのニューロンは、運動や一般的興奮性とは関係なく、認知型BMIのような、意図を伝達する技術の基礎につながるものと思われる。この成果は、Journal of Neurohysiology(2010)に発表した。
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Research Products
(8 results)