2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世の「大学」における社会連携と教育普及活動に関する研究
Project/Area Number |
20330160
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 慎一朗 The University of Tokyo, 史料編纂所, 准教授 (10242158)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末柄 豊 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (70251478)
|
Keywords | 教育史 / 日本史 / 大学 / 都市 / 寺院 / 高野山 / 醍醐寺 / 五山禅僧 |
Research Abstract |
日本中世における高等教育機関としての大寺院が都市・社会とどのように連携し、どのような教育普及活動を展開したのか?という問題にせまるため、2年目である平成21年度は、前年度来の成果をまとめる(研究発表参照)とともに、一次史料の調査収集およびその分析作業を中心的な課題として研究をすすめた。具体的には以下のとおりである。 (1)『大日本古文書 高野山文書』第5冊および第6冊のフルテキストデータベース化。業者による外注入力と、謝金(雇用)によるデータ校正を経て、WEB上で公開している。第7冊についても入力を終了している(校正は未了)。 (2)中世高野山から発信された教育普及活動の痕跡として、木版印刷による仏教教理のテキスト出版物(いわゆる「高野版」)に注目し、醍醐寺・和歌山県立博物館において高野版を調査し、高野版の伝来・受容の過程を研究した。 (3)京都市醍醐寺・実相院および香川県萩原寺、鎌倉浄光明寺などの寺院において所蔵史料の原本調査および写真撮影を行い、中世寺院における学習活動の実態を追究した。また、研究代表者高橋は、日本女子大学・大学院文学研究科主催のシンポジウム『醍醐寺の歴史と文化財』において報告を行い、醍醐寺に素材をとりつつ、中世寺院における諸活動が近隣社会と密接な関連を有していたことを指摘した。 (4)京都における五山禅僧の教育普及活動を探るため、室町時代の貴族の日記における五山禅僧の所見を収集し、データベース化をすすめた。晴富宿禰記・言国卿記・十輪院内府記・元長卿記等について入力を行った。 (5)ヨーロッパ中世の大学に関する研究について、連携研究者のアドバイスをうけつつ、基本的な研究図書の収集につとめた。
|
Research Products
(4 results)