2011 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・キャピタルと学校教育の公共性・正統性に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
20330176
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Research Institution | Kyoei University |
Principal Investigator |
藤田 英典 共栄大学, 教育学部, 教授 (30109235)
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 信頼 / コミュニティ / 社会参加 / 公共性 / 正統性 / 学校教育 / 教育改革 |
Research Abstract |
本研究は、公立学校の「信頼の低下」が言われ、その公共性・正統性が揺らいでいる近年の状況を踏まえ、ソーシャル・キャピタル(特に制度・機関・担い手に対する信頼)とコミュニティ意識や社会参加の関連構造について検討し、公立学校の信頼の回復と学校教育の公共性・正統性の再構築の可能性について探究するものである。そのために、パネル調査を含む4回の質問紙調査(サンプル数1、2回目2000、3、4回目2500で、4回目は東日本大震災関連を含む)を実施し、以下の知見を得た(ごく一部記載)。 1)組織・団体に対する信頼では、政党と政府に対する信頼度が最も低く、信頼できない計(信頼できない+あまり信頼できない)の4回平均は政党88%、政府83%で、かつ大きな変化はない。次いで中央省庁が低く、信頼できない計・平均は69%だが、3、4回目はやや改善。次いで低いのは生命保険会社59%と市役所50%だが、両者とも年ごとに改善し4回目は前者54%、後者44%となった。信頼度が最も高いのは大学と病院で信頼できない計・平均33%、次いで公立中学校が同35%だった。 2)好ましい学校体験(楽しさ、いい教師、いい友人)は、教育組織への信頼や、教育観、生活観、社会観、社会参加、地域への愛着、一般的信頼などに正の効果を示した。 3)東日本大震災関連では、次の諸傾向が確認された。(1)「震災前から重要・大切だと思っていた」割合が5割以上の「家族・親戚」と「仲間・友人」を除く10項目で4割~6割が「震災をきっかけに重要・大切だと思うようになった」と回答(ボランティア、故郷、地域交流、消防団、自治体、自衛隊は5割以上)。(2)震災・原発事故をきっかけに生き方・暮らし方について考えるようになったかという質問に71%が「そう思う」と回答した。(3)復旧復興が迅速に進まなかった原因については、地震・津波被害の大きさと原発事故の併発69%が突出し、除染・瓦礫処理の難しさ、政府の対応が続いた。
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