2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 耕二 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60192754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 靖 立教大学, 理学部, 准教授 (80343200)
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Keywords | ゼータ関数 / L関数 / 多重ゼータ値 / 多重ゼータ関数 / 保型L関数 / 平均値定理 / ルート系 / ワイル群 |
Research Abstract |
今年度は、まず多重ゼータ値をC型のルート系のゼータ関数の特殊値と見て考察する、という方向の研究が大きく進展した。Zagierによるゼータ値の公式がWittenの体積公式の特殊な場合であることを明らかにし、いわゆるパリティ結果を含む新しい種々の公式を、ワイル群の作用の帰結として導いた。ここに現われる部分ルート系が、解析的に良いクラスである(Mellin-Barnesの積分の作用で閉じている)ことも判明した。また、ワイル群の作用の立場から、従来の制限和公式をさらに細分化した形の精密な和公式が、一般のdepthに対して成立することを発見した。その系として、今まではdepth 4までしか知られていなかった制限和公式を、一般のdepthにまで拡張した。こうした一連の結果は、現在盛んに研究されている多重ゼータ値の理論の背後に、ワイル群の作用という構造論が存在することを明らかにし、この理論の新しい方向性を示唆するものである。また、より解析的な方向では、多重保型L関数に対して、関数等式というべきいくつかの等式が成立していることを見いだした。そのうちあるものはEuler-Zagier型の多重和について以前に発見していたものの保型アナロジーであり、あるものはその結果に保型性を適用して得られるものであり、また全く異なるアプローチによる別のタイプの関数等式も発見した。さらに、Euler-Zagier型の二重ゼータ関数についてはその平均値の研究を行ない、二乗平均値の漸近公式を二つの変数の実部の和が3/2より大きいときに証明し、Lindelof予想のある種の二重類似を定式化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多重ゼータ値をC型のルート系のゼータの出場で理解する試みは、予想以上に多くの成果をもたらしつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
多重ゼータ関数の解析的構造が、Weyl群による作用の枠組と連動する形で、かなり浮かび上ってきている。この方向をさらに推進して解析的構造論を確立することを目標とし、津村氏、Y.Choie氏らとの共同研究をすすめる。
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Research Products
(4 results)