2008 Fiscal Year Annual Research Report
最適異時点間リスク配分とそのファイナンスおよび保険への応用
Project/Area Number |
20340015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 昭彦 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (50168431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 雪夫 北海道大学, 大学院・理学研究院, 非常勤講師 (10399793)
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Keywords | ファイナンス / 保険 / 最適異時点間リスク配分 / 動的リスク測度 / 指数効用 / 保険料計算原理 / 双対問題 / 時間に関する一貫性 |
Research Abstract |
本研究課題では, 保険や銀行貸付などが1年以上の多期間にわたることに着目し, 多期間の設定でそれらの非完備市場的商品の定量的評価方法の研究を行う. 特に最適異時点間リスク配分という独自の観点に注目する. これに関し, 連携協力者の中野張氏, 研究協力者の福田敬氏及び代表者は, これまで経済主体が1人で時間t=0における価格のみを扱っていたものを, t>0かつn人の経済主体の場合に拡張しそのダイナミクスを研究した。その結果, 特に指数効用の場合に非常に興味深い結果が得られた. すなわち, そこから得ちれる価格原理を動的リスク尺度と見るとき, いわゆる時間に関する一貫性(time-consistency)を持つという事実である. 動的リスク尺度は時間の経過と共に変化する状況をリスクの定量的評価にどのように反映させるべきかという問題意識から生まれた概念である。いわゆる時価評価の問題とも密接に関係している. 時間に関する一貫性はこのような動的リスク尺度に対する自然な要請である. これは近年, 欧米の有力な数理ファイナンスの研究者達を中心に関心を持たれているテーマであるが, これまでは一般論が先行し具体的な動的リスク尺度の場合の研究が欠けていたように思われる. 我々の結果は, 一般論とは異なる方向から自然に時間一貫性を持つ動的リスク尺度に辿り着いたという点で興味深いと考える. また, 指数効用以外の場合にも, 双対問題の手法をこの場合の設定に拡張することにより, 本研究において鍵となる最適異時点問リスク配分の存在が示された. このように, 研究目的及び実施計画に沿った十分な成果が得られたと考える. これらの研究成果は, Texas A&M UniversityのDeparment of Statistics Colloquimにおいて研究代表者により発表された(研究発表の項参照).
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Research Products
(2 results)