2011 Fiscal Year Annual Research Report
最適異時点間リスク配分とそのファイナンスおよび保険への応用
Project/Area Number |
20340015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 昭彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50168431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 耕一郎 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20241292)
笠原 雪夫 北海道大学, 大学院・理学研究院, 非常勤講師 (10399793)
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Keywords | 予測理論的手法 / 数理ファイナンス / 有限予測係数 / 相係数 / 多次元定常過程 / 多次元化 / 漸近挙動 / Verblunsky係数 |
Research Abstract |
数理ファイナンスにおける非マルコフ型市場モデル等において、予測理論的なフィルタリングの手法は、大変有用である。これに関する研究代表者らの以前の成果は1次元に限られ、多次元の場合には適用することができなかった。この多次元化の問題は、この分野における最も重要で本質的な問題であった。この多次元化の問題に関する第一歩となる成果が、本研究により徐々に得られはじめている。すなわち、この理論の適用される雛形のモデルである離散時間の多次元定常過程に対して、予測理論的なフィルタリングの手法を実行することにより次の成果が得られている:(1)多次元化の鍵となる交代射影の結果の整備、(2)相関数のフーリエ係数である相係数による種々の表現定理、(3)多次元のARFIMA過程に対してVerblunsky係数の漸近挙動を求めた、(4)同じく多次完のARFIMA過程に対して、有限予測係数がBaxterの不等式を満たすことを示した。(3)および(4)の結果は、多次元の長時間記憶過程に対しては、これまで誰も示すことができなかった結果であり、本研究で開発された手法の強力さを如実に示しているといえる。さらに著しいことは、これらめ成果は、解析学に属する直交多項式の分野の成果と見ても、まったく新しいタイプの成果ということである。すなわち、確率過程の立場で研究している我々のグループの成果が、純粋に解析学の立場から見ても深い結果となっているということである。本研究課題に関連する内容の講演が、研究代表者等により、研究集会「直交多項式・特殊関数が関わる確率論的諸問題とその周辺」等において行われた。
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Research Products
(5 results)