| Research Abstract |
まず,平面グラフの理論を禁止マイナーの観点から再構築する研究を行った.とくに,3連結平面グラフが最大次数3以下の全域木を持つ,というBarnetteの定理について,平面グラフの性質を陽に使わずに,K_<3,3>をマイナーとして持たないことのみを用いて証明することに成功した.平面性の緩和概念としては,平面以外の閉曲面への埋め込みを考える研究は多数あるが,他の閉曲面へ埋め込めるという性質は,平面性からそれほど遠くないことが多い.それに対し,K_<3,3>をマイナーとして含まない,という性質は,一般化するにあたりかなり自由度が高い.現在の証明方針は,次数制約のある全域木に対する特有の方針ではあるが,K_<3,t>をマイナーとして持たないグラフへの拡張に向けて,大きな進展が見込まれる.
禁止マイナーの観点から閉路問題,全域木問題,因子問題を解明するにあたり,まず,禁止部分グラフと禁止マイナーの違いを明白にするべく,禁止部分グラフ条件による閉路,全域木,因子についての研究を行った.禁止マイナーでは連結度の仮定と組にすることにより豊富な部分構造の存在を保証しうる可能性がある.今年度の研究成果のひとつとして,スターを禁止することに加え,さらに連結度や辺連結度の仮定を加えた場合,いつ2因子を持つかについて研究を行った.関連問題として,4連結クローフリーグラフがハミルトン閉路を持っであろうというMatthews-Sumnerらの予想があり,これへの進展も見込まれる結果も得ることができた.
その他,閉曲面上のグラフと簡潔な禁止マイナー条件の関係について研究し,とくに,クラインボトル上の三角形分割において,K_6をマイナーとして含まないグラフを特徴づけする結果を得た.
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