Research Abstract |
まず,平面グラフの概念の拡張として,K_<3,t>をマイナーとして持たない3連結グラフの全域木に関する研究を行った.このようなグラフの族では,取り除いた頂点数に対して生じる連結成分の個数がある程度抑えられるという事実は分かっており,その帰結として,最大次数がt+1以下である全域木の存在は知られている.これに対し,最大次数がt以下である全域木を持たないグラフで,マイナーに関して極小なグラフの性質を詳細に調べることにより,そのようなグラフはK_<3,t>をマイナーとして持つことがわかった.すなわち,K_<3,t>をマイナーとして持たない3連結グラフには,最大次数がt以下の全域木が存在することが示された.さらに,tが偶数のときには,全域木の最大次数をさらに1だけ下げられることも示された.これらの事実は,次数制約付き全域木に関する結果としては,最善の結果といえる. 禁止マイナーの観点から閉路問題,全域木問題,因子問題を解明するにあたり,まず禁止部分グラフに関する研究の再検討を行った.完全マッチングと禁止部分グラフの関連についてはよく知られている事実がある.それは,クローと呼ばれる4頂点のグラフを誘導部分グラフとして含まない偶数頂点からなる連結グラフは完全マッチングを持つ,という事実である.この研究を極限まで推し進め,完全マッチングの存在を保証するような禁止誘導部分グラフの組み合わせをすべて決定することができた.また,これまで比較的多くの研究がなされているクローフリーグラフやその一般化であるスターフリーグラフについても,別の誘導部分グラフを禁止することにより,暗黙的にクローやスターを禁止することになるようなケースについての研究がなされた.
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