2010 Fiscal Year Annual Research Report
正準変換と比較原理の手法による分散型方程式の解の諸性質の解明
Project/Area Number |
20340029
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉本 充 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60196756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱田 俊明 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60257243)
津川 光太郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (70402451)
加藤 淳 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (00432237)
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Keywords | 正準変換 / モジュレーション空間 / 波動方程式 / 比較原理 / シュレディンガー方程式 / 時空間評価式 / 非線形問題 |
Research Abstract |
この研究は、偏微分方程式をその表象の座標変換により標準形へと変換してから考察する古典的手法(正準変換)と、二つの偏微分方程式の表象の比較からそれぞれの解の評価式を比較する新しい手法(比較原理)を組み合わせることにより、解に対する様々な評価式を導きかつ偏微分方程式論の諸問題にそれらを応用することを試みるものである。これに関して、本年度は特に以下の課題に取り組んだ。これらの研究はまだ途上にあり,最終的成果に関しては今後の進展に期待したい. 1. M.Ruzhansky氏(Imperial College London)との共同研究により,双曲型方程式に対する初期値問題の解の時間大域的な構成法に関する研究を継続した。相関数の大域的な構成に関しては、アイコナル方程式を解くのではなくラグランジュアン多様体が同じとなる別の相関数を構成する方法が有効であることを見出した。これをもとに解の時空間評価式を導出するのが次の課題である。 2. シュレディンガーおよび波動方程式に対する発展作用素は、Lp空間上では有界ではないがモジュレーション空間上では有界になることが知られている。そこで、Lp空間からモジュレーション空間への作用素としては有界かという疑問が生じるが、この問題はLpソボレフ空間とモジュレーション空間の間の包含関係を決定することと同値となる。小林政晴氏(東京理科大)との共同研究により、この包含関係を完全に決定することができた。また、Wang氏(北京大学)および冨田直人氏(大阪大学)との共同研究により、モジュレーション空間において非線形作用が閉じているかという問題について考察した。これは非線形分散型方程式の初期値問題においてモジュレーション空間論を用いる際に重要となる性質であるが、代表的な非線形項に対しては応用可能な部分的な解答を得ることができた。
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Research Products
(6 results)