2011 Fiscal Year Annual Research Report
対称構造のタイヒミュラー空間と擬等角写像類群の剛性および固定点問題
Project/Area Number |
20340030
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松崎 克彦 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80222298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 雅彦 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (50108974)
須川 敏幸 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (30235858)
佐官 謙一 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70110856)
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Keywords | 複素解析 / 双曲幾何 / タイヒミュラー空間 |
Research Abstract |
無限次元タイヒミュラー空間に作用する写像類群の部分群とその不変部分空間の研究を,円周の同相写像群がメビウス群と共役になるための条件を与える問題に応用した.有界軌道をもつ対称写像部分群は一般には固定点が存在しないことを示したが,対称写像を境界値としてもつ単位円板の擬等角写像の歪曲係数に可積分条件を与え,その条件をみたす部分群に対しては対応する不変部分空間に固定点が存在することを証明した. 対称写像群の部分群としての微分同相写像群に対する研究を開始した.ある正則微分形式のなすバナッハ空間への微分同相写像群の等長作用を考察し,固定点の存在位置から共役写像の微分オーダーを調べる原理を発見した.また,バナッハ多様体の凸性や負曲率性等の固定点の存在を保証する性質を導出し,可微分共役問題に統一的な視点を与えることを目標とする. 函数論では擬対称写像の擬等角拡張の理論として Carleson に始まる漸近的等角写像の概念があり,擬等角写像の歪曲率の境界での減衰オーダーと,境界値である擬対称写像の微分オーダーの関係が示されている.漸近的等角写像は近年,Earle-Gardiner-Lakic による漸近的タイヒミュラー空間の理論に使われて見直されているが,ここで有用となると思われるものは Cui による双曲計量に関する2乗可積分な歪曲率をもつ擬等角写像の空間である.この空間には Weil-Petersson 計量を定義することが可能であり,実際 Takhtajan-Teo はそれが負曲率をもつことを示している.微分同相写像群はこの空間に等長的に作用し,その軌道が有界であるならば固定点をもつことは一般論より知られている.固定点は共役写像に対応する.したがって,この原理を微分オーダーを反映するような同種の空間を構成し,それに対して適用することが可能であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
対称構造のタイヒミュラー空間論の基礎ができたあと,その応用を探していたが,微分同相写像群の共役問題に適用できることがわかってきた.当初は予想しなかったことであるが,新しい展開を得て研究課題がより活性化した.
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Strategy for Future Research Activity |
擬等角写像類群のタイヒミュラー空間の部分空間における固定点問題が本質的であることが明らかになってきたので,最終年度ではこの問題を中心に研究を展開する.単位円板上の p 乗可積分な正則2次微分形式に相当するタイヒミュラー空間を考察する.
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